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2017 年度 実施状況報告書

ケロイド・肥厚性瘢痕由来細胞への繰り返し伸展刺激による細胞内シグナルの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K17019
研究機関徳島大学

研究代表者

峯田 一秀  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (70747815)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードケロイド / 線維芽細胞 / 伸展刺激 / カルシウムイオン / カルシウムシグナル
研究実績の概要

2017年5月に徳島大学病院倫理委員会の承認が得られ、当院形成外科で切除された皮膚組織とケロイド組織から線維芽細胞の分離・培養を行い、これまでに正常皮膚由来線維芽細胞が4献体、ケロイド由来線維芽細胞が6献体得られた。今後、それぞれ10献体ずつまで増やす予定である。
研究協力者である同大学理工学部佐藤克也講師から、伸展マイクロデバイスの提供を受けて、正常皮膚由来線維芽細胞群とケロイド由来線維芽細胞群の伸展刺激実験を開始した。力学的刺激の条件は、呼吸に伴う胸郭運動を模擬し、1分間12回(5秒サイクル)、伸展率10%の繰り返しストレッチ刺激になるように設定した。骨芽細胞による先行研究を参考にして、カルシウムイオン蛍光指示薬などの試薬の調整を行い、共焦点顕微鏡下で、0.5秒間隔の連続撮影することで、細胞内カルシウムイオン濃度の動態変化を観察することに成功した。
現段階では、正常皮膚群とケロイド群それぞれ1献体ずつの結果であるが、5分間の繰り返しストレッチ刺激に対して、両群ともに8割前後の細胞は、細胞内カルシウムイオン濃度の変化を認めなかった。一方で、両群とも2割前後の細胞は、ストレッチ刺激による細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を認め、ある一定の閾値に達するとnegative feedbackがみられた。また、ケロイドの細胞応答(+)群では、正常皮膚の細胞応答(+)群と比較して、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇率が高く、細胞間カルシウムシグナル伝達の波及をリアルタイムに観察することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

35㎜の培養皿に設置された伸展マイクロデバイスは、厚さ5μmの微小シリコンシートから成っており、共焦点顕微鏡下で行う一連のセッティングに慣れが必要であった。
また、デバイス自体は超音波洗浄後に再利用しているが、繊細な機器で破損しやすいため、デバイスの供給が不足し、実験が一時期遅延した。
2017年11月に、これまでの実験結果について、日本創傷治癒学会(京都)で口頭発表し、伸展マイクロデバイスを用いた力学的刺激による線維芽細胞のカルシウムシグナル伝達の観察方法について、学術論文を作成中である。

今後の研究の推進方策

現段階では、ケロイド由来線維芽細胞の一部が、繰り返しストレッチ刺激に対して、過敏なカルシウムシグナル応答を示すことが予想されており、コントロール群とケロイド群の両方ともにN数を増やしていき、両群の比較検討を行っていく。ケロイド由来線維芽細胞において、カルシウムシグナルの病的応答が認められた場合には、様々な阻害実験を行って、病的応答の正常化が得られるかどうかを検討していく。
また、力学的刺激に対する細胞内カルシウムイオン濃度の上昇について、細胞内器官でカルシウムイオンの貯蔵庫である小胞体の機能に焦点をおいて、個細胞単位で検証していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度で遅延した実験に対する物品費に充填する予定である。また、平成30年度については、計画書に基づいた研究に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 繰り返しストレッチ刺激を契機としたヒト線維芽細胞におけるカルシウムシグナル応答の検討2017

    • 著者名/発表者名
      峯田一秀
    • 学会等名
      日本創傷治癒学会

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公開日: 2018-12-17  

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