研究課題/領域番号 |
17K17024
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
武藤 真由 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 指導診療医 (10723348)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 乳房再建 / 脂肪注入 / 放射線照射後 |
研究実績の概要 |
乳癌術後の乳房再建分野において、脂肪移植は最新のトピックスであり、当科でも2012年より国内でも一早く治療を開始し、良好な成績を得ている。しかし放射線照射後の脂肪移植による乳房再建は、乳房温存術後の小さな変形であっても非常に治療困難で、その原因は晩期障害として微小血管の閉塞や過剰な線維化が起こることにより、乳房皮膚が硬く乾燥し、創傷治癒機序が正常に働かない状態となっているためと考えられる。そこで、脂肪を少量頻回注入することで、放射線照射後の皮膚障害を改善させると予測し、正常な皮膚の状態へ戻るための具体的な脂肪移植量や注入回数を調査し、最終的に脂肪移植での放射線照射後乳房再建を可能にすることが本研究の目的である。 今年度は、術前後の乳房皮膚の状態を評価するための器機を予算内でおさめるため、多数ある器機の中から重要な機器の選定を行った。患者さんの同意を得た上で、実際に乳癌術後の皮膚の粘弾性、角質水分量の測定、また超音波エラストグラフィーを用いた皮膚・脂肪識の柔らかさを測定し、器機を選定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載したとおり、器機の選定に時間を要したため、今年度治療を開始することができなかった。現在、倫理委員会への書類を作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
倫理員会の審査が通り次第、乳房全切除後や皮下乳腺全切除術後、乳房温存術後に後療法として放射線照射が行なわれている症例で、本治療方針に同意する患者を選出する。乳房皮膚の角層の水分量・粘弾性を計測することにより、術前の放射線晩期障害の評価を行う。術前にCTまたはMRI検査、VECTRA(3D立体画像装置)で撮影を行い、術前の体積評価を行う。手術方法:腹部・または大腿内側の小範囲に局所麻酔を行い、手動式脂肪吸引器で脂肪吸引を行う。手動式遠心分離器で100G程度で遠心分離し、下澄み液を除去したものを移植材料とする。20cc程度の移植脂肪を、乳癌術後の変形の強い部位の皮下脂肪層に2.5ccまたは1ccのシリンジを用いて鈍針で注入する。閉創時に注入孔周囲の皮膚全層を採取し、病理組織学検査に提出する。術後3ヶ月の時点で、乳房皮膚の角層の水分量・粘弾性を再度計測することにより乳房皮膚の放射線晩期障害を改善したかを評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた学会に参加できなかったため、翌年学会参加費・旅費として使用する予定である。
|