研究課題/領域番号 |
17K17026
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 夏美 自治医科大学, 医学部, ポストドクター (70638246)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再生医療 / 血管内皮細胞 / 脂肪組織 / 脂肪幹細胞 / 難治性潰瘍 |
研究実績の概要 |
難治性潰瘍など虚血組織に対する治療では、組織を肥沃化し血流改善することが重要である。移植治療等において血管内皮(前駆)細胞を併用すると血管新生が促進されることにより治療効果の増進が期待できることが知られているが、実際には、自家で調達可能な血管内皮(前駆)細胞が無かったために、臨床への道は閉ざされていた。ヒト脂肪組織にも脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞が存在し、脂肪組織が低い侵襲で採取可能な組織であるために、移植細胞源になりうると考えられてきたが、回収法が確立されていなかった。 平成29年度は、ヒト脂肪組織から血管内皮(前駆)細胞を純化、培養する方法を世界に先駆けて確立し、特許申請、及び国際学会にて成果発表することができた。 具体的には、(1)ヒト脂肪組織から、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞群(間質血管細胞群)を回収する方法の最適化、及び(2)間質血管細胞群から磁気細胞分離法と細胞培養法の組み合わせにより血管内皮(前駆)細胞を高純度で獲得する方法の最適化を行った。本法のポイントは、間質血管細胞群中には血管内皮(前駆)細胞よりも増殖スピードが速い脂肪幹細胞が存在するために、血管内皮(前駆)細胞は高純度でない限り他の細胞に容易に駆逐されてしまう点にあり、この純化の方法は今まで確立されていなかった。(1)の間質血管細胞群の回収では、血管内皮(前駆)細胞の獲得に有利な(細胞比率が高い)酵素反応液の組成・濃度の検討を行い、概ね完了した。(2)の純化のステップでは、磁気細胞分離法で使用する磁気抗体の選定、分離の方法、細胞培養法との組み合わせの検討を行い、概ね完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、ヒト脂肪組織からヒト由来血管内皮(前駆)細胞を純化、培養する方法を概ね確立することができた。さらに、その成果を特許申請し、学会発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪由来血管内皮(前駆)細胞の純化の方法を確定させること。 脂肪由来血管内皮(前駆)細胞を難治性潰瘍モデルマウスに細胞移植し、その治療効果を検証すること。
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