多くの外科医が、神経線維腫症Ⅰ型(neurofibromatosis type1;NF1)患者の手術瘢痕は整容的に優れていること、肥厚性瘢痕やケロイドになりにくいことを臨床経験から認識していると思われる。創縁の緊張という機械的刺激は肥厚性瘢痕・ケロイド発生の主要因と考えられるが、NF-1患者ではそれを凌駕する、繊維増生を抑制する機構が働いていると予想される。本研究ではそのメカニズムを明らかにすることで、機械的な刺激下や炎症細胞存在下でも肥厚性瘢痕・ケロイドの 病態に影響するターゲットポイントを発見できると期待できる。つまりリスク要因を有する患者にも効果的な肥厚性瘢痕・ケロイドの予防法および治療を開発できると考えている。
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