研究課題/領域番号 |
17K17038
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
関 征央 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (30625249)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / リンパ浮腫外科療法 / リンパ管解剖 / LVA / リンパ管静脈吻合術 |
研究実績の概要 |
本研究は主に四肢のリンパ管の解剖学的優位性と力学的動態を解明することで、上肢・下肢リンパ浮腫に対する低侵襲外科治療であるリンパ管細静脈吻合術(LVA)の治療効果を向上させ、最終的にはリンパ浮腫をLVAで根治することを目標とした、基礎・臨床研究である。わが国では、2015 年時点で乳癌患者は89400 人/年、子宮癌患者は30000 人/年が新たにがんに罹患するとされ、これらがん治療の合併症として頻度の高い、上肢リンパ浮腫・下肢リンパ浮腫の患者は増加傾向にある。患者のQOLを損なうリンパ浮腫は、がんサバイバーの就労の問題にも大きく関わるが、これまでは根本的な治療がなかったため、外科的治療が発展することの社会的意義は極めて大きい。 LVAの治療効果は吻合に用いるリンパ管の変性の程度によって異なるが、患者四肢のどの部位に切開をおいてLVAを行うかによっても治療効果が異なることが報告されている。そこで、本研究課題では、リンパ浮腫患者の切開部位毎にリンパ管の変性の程度を調べ、部位別にリンパ管を免疫学的、組織学的に評価する。さらに、上肢・下肢リンパ浮腫に対する画像検査を主体とした評価を行い、LVAを行うにあたり、解剖学的に優位なリンパ管の部位同定を行う。また、部位別に採取したリンパ管の免疫学的、組織学的評価から部位別にリンパ管の解剖学的特性を明らかにする。 さらに献体を用いた解剖研究により、LVAを念頭としたリンパ管の部位別解剖学的特性と力学動態についても評価を行う。 本研究の成果により、LVAの治療効果を向上させることが本研究の目的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、①正常解剖検体のリンパ管と、リンパ浮腫患者のリンパ管・リンパ液の部位別評価、②リンパ浮腫関連検査結果から、解剖学的優位性をもつリンパ管の存在部位を同定する研究、③正常固定解剖献体の四肢リンパ管解剖研究、④解剖学的に有利と考えられる部位でのLVA による上肢・下肢リンパ浮腫治療の統計学的評価からなる。平成29年度は①②を行う予定としていたが、①②④が概ね順調に進展しており、正常解剖献体におけるリンパ管の評価を献体をもちいて行っている。また、解剖学的に有利と考えられる部位でのLVAの実施により、研究成果として2本の論文投稿がacceptされ、1本を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
①のうち、リンパ浮腫患者のリンパ管・リンパ液の部位別評価を行い、正常解剖献体で得られたデータや、解剖学的に有利と考えられる部位でのLVAの臨床結果との関連を調べる。解剖を中心とした基礎研究と、臨床研究の2点から、LVAの治療効果を向上させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究補助が年度末を挟んだため、人件費・謝金の支払いが次年度使用となったため。また、研究に必要な統計ソフトの使用が、次年度に予定されたため。
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