研究課題
若手研究(B)
本研究では,血液に塩酸や乳酸を投与し血液中の酸塩基平衡を移動させることで血中二酸化炭素濃度を強制的に増加させ,その直後に人工肺で二酸化炭素を除去することで効率的に血中二酸化炭素を除去するシステムを開発した.新規システムは持続血液濾過透析装置に人工肺を組み込み,さらに酸および塩基を投与する構成である.生体豚を用いた実験により,新規システムによって安全かつ効率的に血中二酸化炭素を除去できることを示した.
救急集中治療医学
重症急性呼吸不全患者では血中二酸化炭素濃度を適正域に保つために高い人工呼吸器圧を要するが,これがかえって人工呼吸器関連肺障害を引き起こす.新規システムは酸塩基平衡を用いることで二酸化炭素を除去するものであり,生体豚の実験でその有用性が示されたことは学術的意義があり,さらに安全かつ効率的に二酸化炭素を除去し,同時に腎機能を補助することで重症呼吸不全患者の肺保護戦略を非侵襲的に行うことができると考えられ,社会的意義がある研究成果である.