研究課題/領域番号 |
17K17043
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
比留間 孝広 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40572277)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 敗血症 / インターフェロンβ / 緑膿菌 / 肺胞マクロファージ |
研究実績の概要 |
過去にも行ってきた腹膜炎+肺炎でのtwo hit modelでのIFNβの効果を再検討した。 ①CLP後にPAITを施行し、CLP3日後に治療コントロールとして生食(NS;normal saline)を投与した2H,NS群、②開腹手術のみのsham手術後にPAIT施行したsham群、③2H群にCLP3日後に治療薬としてIFNβを投与した2H,IFN群の3群における解析を行ってきた。Sham群と比較し、two hitにより生存率は著明に低下し、IFNβの投与はその生存率を有意に回復したが、メカニズムの解析として、今までの結果で不十分であった追加実験を行った。まずは肺炎後の肺組織中の緑膿菌のバクテリア菌量を測定し、②と比較し、①の群では有意にバクテリア量が増加し、治療としてIFNβを使用した③群では①と比較して優位にバクテリア量が減少し、two hit modelにおけるバクテリア対応力の低下と、IFNββによるその改善が認められることを示した。 また腹膜炎後の方法マクロファージの貪食能を別の方法で再検討したが、腹膜炎後の肺胞マクロファージの貪食能はshamと比較し、著しく低下し、IFNβではその貪食能が有意に改善したことを示した。 またもう一つの実験項目でもある腸管虚血再還流(I-IRI)+肺炎でのtwo hit modelの確立のための準備をおこなった。肺炎の作成方法は上記の段階で確立できており、今回は腸管虚血再還流(I-IRI)の条件設定を行った。虚血時間の調整とそれによる重症度の設定を行い、今後two hit modelに適した、条件設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腸管虚血再灌流後の肺炎のtwo hit modelでの種々検討を行う予定であったが、長官虚血再灌流モデルの条件設定のみにとどまった。腹膜炎後の肺炎でのtwo hit modelでのIFNβの効果を再検討をまずは行った。今までの研究も踏まえて、腹膜炎後の肺炎でのtwo hit modelでのIFNβの効果について、まとまりのある結果がでたため、こちらのデータ解析、再実験を加えて、論文化することを優先に行った。
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今後の研究の推進方策 |
腸管虚血再還流(I-IRI)+肺炎でのtwo hit modelの確立する。First hitはマウスでIーIRIを行う。I-IRIには上腸間膜動脈をクランプし、再灌流することで虚血再灌流を起こす。コントロールとして開腹のみを行うsham operationのマウスを使用する。腸管虚血再灌流1日後に肺炎を合併させる。肺炎は菌の経気管投与(intratra tcheal instillation; IT)とし、菌は院内感染症を想定してpseudomonas aeruginosaを使用する。使用する菌量は、正常マウスでは7日間の観察期間中に死亡しない程度の軽度感染する量とする。これらのtwo hitモデルとshamマウスとの経時的な生存率を比較する。 次に腸管虚血再還流+肺炎でのtwo hit modelへの治療的介入を行う。免疫調整物質としてIFNβによる治療介入を行う。①I-IRI+肺炎(2H model),②Sham+肺炎(sham群),③I-IRI+肺炎+IFNβ(治療群)での生存率を比較する。 I-IRIの作成方法はすでに条件設定も含めて終了しているため、今までの腹膜炎+緑膿菌肺炎の作成方法の流れをこちらにも応用できると考えている。またその後のメカニズム解析についても、同モデルでの検討事項と同様の流れで行うことができるため、研究をスムースに推進していけると考えている。
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