研究課題/領域番号 |
17K17045
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
遠藤 彰 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (00648074)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外傷 / Acute Care Surgery / DPCデータベース |
研究実績の概要 |
1. 統計解析用PCとしてMacbook Pro Retina 2.5GHzを購入した。DPCデータベースから2010年から2015年の間に外傷で入院した患者を同定した。さらにそれらの患者に投与された薬剤や輸血、さらに行われた手術や手技に関するデータを抽出した。また入院総医療費の情報も合わせて重出した。入院時併存病名からCharlson comorbidity indexを計算するスクリプトを作成し、さらにICD-10病名に基づく外傷重症度スコアを算出するスクリプトを作成した。 2.施設あたりの重症外傷患者症例数とその転帰および入院医療費との関連を評価した。その結果、症例数が多い施設では重症度や併存症などを調整したうえでも生存退院する患者がより多く、また一人当たりの入院医療費はより安くなるという関連を認めた。上記内容を国内学会のパネルディスカッションおよび英文医学雑誌で発表した。この情報は重症外傷患者を集約化することによって医学的および経済的メリットが得られる可能性を本邦で初めて数値で示したものであり、救急医療システムの改善に向けて社会に大きく貢献できるデータとなると考えられた。 3. Acute care surgery領域において、急性壊死性膵炎に対する選択的動脈内持続動注療法の有効性を検討した。急性壊死性膵炎は致死率が高い一方疾患特異的な治療が存在しないのが現状である。本邦で開発された選択的動脈内持続動注療法についてはこれを裏付ける根拠が世界的にも不足している状況であった。我々はDPCデータを用いて急性壊死性膵炎患者を同定し、さらに患者背景や投与薬剤、行われた手技などによって診断精度の高い予後予測モデルを作成した。このモデルを用いて重症度調整を行い、急性壊死性膵炎では選択的動脈内持続動注療法が良好な生命転帰と有意に関連することを示した。上記内容を英文医学雑誌で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データ収集や重症度調整スコア算出のためのスクリプト作成が順調に進み、当初平成30年度に研究結果を公表予定であった重症外傷におけるvolume-outcome relationshipについての研究結果を平成29年度に英文医学雑誌で発表することができた。また、外傷以外のacute care surgery領域についても急性壊死性膵炎の持続動注療法の有効性について研究し、結果を英文医学雑誌で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在行なっている課題である大量輸血を行なった外傷患者における適切な輸血成分比(赤血球:新鮮凍結血漿:血小板)の検討なども順次英文医学雑誌で発表していく予定である。さらにAcute care surgery領域や熱傷などにおいても同様に大規模データの利点をいかした研究を行なっていく。 また得られた地検に関しては国際学会での発表なども検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも研究が早く進行したため、論文作成のための英文校正費用および論文の掲載費用を繰り上げて計上した。
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