敗血症は現在医学でも致死率の高い疾患であるが,抗菌薬投与や感染巣のデブリードマン以外には根本的な治療がなく,治療の主体は全身管理である.過剰な炎症により臓器障害が引き起こされることに対し,炎症を強力に抑制する戦略がこれまで試みられたが臨床応用された治療法はない.感染に抵抗できる免疫力残しつつ臓器障害をきたさないサイトカインのバランスを保つという戦略が新たな敗血症治療になりうると考えている.今回構築した新たな敗血症動物モデルは長期の罹患期間に応じたサイトカインプロファイルを明らかにし,敗血症を原因とした臓器障害を再現するモデルである.敗血症の病態に基づく治療戦略開発の第一歩であると考える.
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