研究課題
(目的)新たに作成した爆風発生装置を用いてオリジナルの軽症頭部爆傷ラットモデルを作成することを目的とした。(方法)まず、装置から衝撃波が発生することを確認した。つづいて距離を変えながらラットの頭頂部に作用させ、肉眼的出血が起こらない程度の距離を確定し(2.5cm)、その距離における圧力波形を特殊なセンサーを用いてモニタリングし、衝撃波のピーク圧を測定した(646.2 ± 70.3 kPa.)。このラットモデルに対して、生理学的評価、頭部MRI(動物用11.7T)、免疫組織染色、行動学的試験を用いてどういった変化が起きているか検討した。(結果)軽症頭部爆傷ラットモデルは肉眼的およびHE染色においても出血は認めなかった。体重は3日目にかけて減少しその後上昇し、食事量低下が一つの要因であった。行動学的試験ではY迷路試験および強制水泳試験で爆傷群において、異常行動(短期記憶障害、うつ様行動)が確認された。11.7T動物用MRIでは、2週間をピークに両側海馬の領域にDWIで高信号域を認めた。免疫組織化学染色では、MRIでの異常が見られた周囲の領域に活動型のミクログリアが2週間をピークに集積していた。またGFAP陽性アストロサイトの集積およびNeuN陽性細胞の減少が認められた。(考察)本モデルは軽症頭部爆傷後の慢性期にかけての行動異常と脳実質の微細な炎症性変化を捉えていることが考えられ、今後のさらなる検討や治療介入を開発するための基盤となりうる。
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Brain Injury
巻: 16 ページ: 1-14
10.1080/02699052.2020.1861653
https://www.ingentaconnect.com/content/sil/impact/2019/00002019/00000003/art00029