気道熱傷患者は呼吸器合併症発症率が高いことは知られており,呼吸器合併症を併発した場合死亡率も高値となることが知られている.世界的にも気道熱傷患者への呼吸理学療法は推奨されているがその具体的な効果に関する報告はない. 本研究の目的は気道熱傷患者に対する呼吸理学療法の効果について①呼吸メカニクスからみた呼吸理学療法の短期的な効果,②短期的な効果と長期予後との関連性の2点について明らかにすることとした. 今年度は研究に了解の得られた4名の気道熱傷患者を対象とし呼吸理学療法を入院時から退院時にかけてデータ採取を行った.呼吸理学療法の短期的効果の検証として気管挿管・人工呼吸管理となった患者重へ呼吸理学療法を行い,呼吸理学療法30分前,呼吸理学療法時,呼吸理学療法後の3点をポイントとしてデータ収集を症管理システム(PIMS システム:フィリップス社製)を用いバイタイルサインとして血圧,心拍数,SpO2,人工呼吸器から得られる一回換気量,分時換気量,呼吸数,コンプライアンス,気道内圧を測定した.また,挿管・人工呼吸器管理離脱した患者,人工呼吸器装着しなかった症例へは咳嗽力(Peak Flow),最長発声持続時間(MPT:maximum phonation time),スパイロメーターによる肺機能,モストグラフによる気道抵抗値の測定を行った.更に入院から端座位,立位,歩行までの期間についても調査を行い離床が呼吸機能に及ぼす影響について今後症例を集め検討していく.
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