研究実績の概要 |
はじめに後ろ向きに間質性肺炎急性増悪患者に通常の人工呼吸のみで管理した群と体外式膜型人工肺(Veno venous extracorporeal membrane oxygenation)を施行し管理した群で死亡後に剖検を行った患者の剖検肺で病理学的検討を行った.KL-6(sialylated carbohydrate antigen KL-6 )やSP(surfactant protein)-D をはじめとして間質性肺炎の治療効果の指標となるマーカーや,その他IL(interleukin)-6,RAGE(receptor for advanced glycation end products), Ang(angiopoietin)2など血管内皮・炎症マーカーを免疫染色を行い,定性的に評価を行った.結果どのマーカーについても人工呼吸器管理群と比してECMO群で発現が低下していた.つまりECMOで管理したことにより,より厳密な肺保護換気が行えVILI(Ventilator induced lung injury: 人工呼吸関連肺障害)が抑えられた可能性が示唆された(報告済). 続いて実際の患者血清を用いて,これらのマーカーの継時的変化を測定した.前向きに患者血清収集が必要であったために症例数としては少数であったが,2群において病理学的に差が認められたマーカーの中でRAGEが最も治療経過を反映していたという結果となった.2020年度においては,COVID-19流行により他の呼吸不全患者が減少し症例の集積が停滞したため十分な検討ができなかった.
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