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2019 年度 実施状況報告書

重症呼吸不全患者の気道および血液検体を用いた多角的病態解明および新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17053
研究機関広島大学

研究代表者

田邉 優子  広島大学, 病院(医), 助教 (60793445)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード肺炎 / 原因菌 / 次世代シークエンサー / 消化管細菌叢
研究実績の概要

我々の研究グループはARDS(重症呼吸不全)の病態に気管内の常在菌叢が修飾関与しているのではなかということについて検証してきた.
京都府立医科大学の研究グループと共同で,当大学病院高度救命救急センターおよび集中治療室入院中のARDS患者の気道上皮被覆液検体(BAL)からこれに含まれる細菌の全ゲノム核酸を抽出し,全遺伝子情報を短時間で解析するメタゲノム解析を応用した次世代シークエンス法を用いてARDS時の常在菌叢パタンを解析した.
この結果,下気道細菌叢においてStaphylococcus,Streptococcus,Enterobacteriaceaeの菌量と予後との相関が示された(現在論文投稿中).
また,当院病院高度救命救急センターおよび集中治療室に入院したARDS患者70名を対象として,BALを用いた原因微生物検出の有無と予後との関連について検証した.結果,死亡率は,病原体が証明されているARDS患者の方が,病原体が証明されていないARDS患者よりも有意に低かった(集中治療室死亡率:10% vs 50%,p値:0.0006;院内死亡率:18% vs 55%,p値:0.0038).そしてARDS患者において,病原体の証明は院内生存率上昇の独立した因子であることが判明した(adjusted hazard ratio,0.238:95% 信頼区間,0.096-0.587;p = 0.0021).これついても現在論文投稿中であるが,ARDS患者に対してBALを含む診断ワークアップの予後への影響を調査した初の研究であり,社会貢献的意義があるものと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細菌の次世代シークエンス法による網羅的解析を行う手法を確立した一方で,ウイルスに関しては固有領域がなく,次世代シークエンス法による網羅的解析を模索したが,方法の確立は困難であった.このため一時研究に遅れが出たが,方向修正し,細菌叢とARDS予後の関連をまとめ論文投稿まで至った.

今後の研究の推進方策

我々はこれまでに,ARDS患者40名と非ARDS患者7名の血清・BALF(肺胞洗浄液)・気道上皮被覆液(マイクロサンプリング法を使用)を収集し,これら検体を用いてフェノール・クロロホルム抽出・エタノール沈殿法でゲノム核酸を抽出した後,次世代シークエンス法を用いて細菌ゲノムの網羅的解析を行った.現在投稿中原稿の査読での指摘にもあるが,一部の検討では統計学的に差を確実にするため,さらに症例数を増やす必要がある.

次年度使用額が生じた理由

ウイルスの次世代シークエンス法による網羅的解析は困難であり,ウイルス解析にかかると見込んでいた費用に余りが生じた.方向修正によりARDSの予後と気管内の常在細菌叢の関連を検証し,論文投稿まで至った.今後は統計学的に差を確実にするため,さらに症例数を増やして検討していく予定であり,そちらの費用に使用させて頂きたい.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] High serum potassium level is associated with successful electrical cardioversion for newonset atrial fibrillation in intensive care unit: a retrospective observational study.2019

    • 著者名/発表者名
      Kyo M, Hosokawa K, Ohshimo S, Kida Y, Tanabe Y, Ota K and Shime N
    • 雑誌名

      Anaesth Intensive Care.

      巻: 47 ページ: 52-59

    • DOI

      10.1177/0310057X18811815.

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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