研究課題
我々は過剰な活性化好中球を除去する免疫制御血液浄化システム(IMBPS:immunomodulating blood purification system)の構築に取り組んでいる。昨年度は(1)敗血症モデルの確立、(2)免疫制御血液浄化システム施行中の血液流量の違いによる血球吸着能の変化、(3)免疫制御血液浄化システム施行中のサイトカインの評価の検討を行った。IMBPS成立のためには、新たに動員される好中球が活性化されていないことが重要である。本年度は、生体ブタを用いて、LPS投与時の好中球の動向について検討した。今回のブタ敗血症モデルは、LPSを前日に筋注し当日麻酔下で静脈投与を行った。LPS投与により白血球数・好中球数は減少したのち、増加した。好中球の減少はLPSによる末梢への遊走、その後の好中球の増加は末梢プールからの動員と考えられる。フローサイトメトリーによって、顆粒球の貪食能と接着能を測定した。過去の報告と同様、LPS刺激により好中球の貪食能、接着能の活性が増加した。白血球数・好中球数と貪食能・接着能の経時的な推移は逆相関を示した。これは新たに動員された好中球の活性が低かったためと考えられる。以上より、活性化好中球が消費された後、新たに動員される好中球は活性化されていない可能性が示唆された。
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