研究課題/領域番号 |
17K17080
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
矢島 健大 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40779550)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯髄 / イオンチャネル / 神経ペプチド |
研究実績の概要 |
歯髄には多くのイオンチャネルや神経ペプチドが存在しているが、それらの歯髄炎や根尖性歯周炎に対する影響は詳細には知られていない。本研究では、歯髄疾患モデルラットを作成し、歯髄疾患の病態やそれに伴う痛みの抑制方法について、神経科学的手法を用いて解明することを目的としている。 今年度は、はじめにコントロール群におけるイオンチャネルや神経ペプチドの分布を確認した。雄性7週令未処置Wistarラットについて、過量麻酔後にザンボニ固定液を用いた灌流固定を行い、各種組織を取り出した。上顎骨については、10%EDTAを用いて3週間の脱灰処置を行った。それぞれの組織から、クライオスタットを用いて凍結組織切片を作成した。この組織切片に対して、複数のイオンチャネルや神経ペプチドを用いた免疫染色を施し、蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行った。その結果、ラット歯髄の神経線維や周囲組織にtransient receptor potential (TRP)イオンチャネルが存在することが確認された。また、caltitonin-gene related peptide(CGRP)も観察された。これらのイオンチャネルや神経ペプチドは、三叉神経節ニューロンにおいても存在することがわかった。これらのイオンチャネルや神経ペプチドの関係や役割を確認するために、蛍光二重染色または蛍光三重染色を行った。これにより、三叉神経節ニューロンにおいて、TRPイオンチャネルとCGRPの共存が確認された。また、ラットの歯に露髄処置を施した。三種混合麻酔薬の腹腔内投与による鎮静下においてラットを開口保持し、上顎左側第一臼歯を明示し、歯科用エンジンとダイヤモンドポイントにより露髄処置を行った。本年度はコントロール群を用いた基礎データを得ることができたため、次年度は処置群を用いて詳細な解析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未処置ラット歯髄の神経線維や周囲組織、三叉神経節におけるイオンチャネルと神経ペプチドの分布を免疫組織学的手法により観察することができた。また、ラットの歯に露髄処置を施すこともできた。以上より、当初の計画に対しておおむね順調に進捗していると考えられる。しかしながら、処置群に対するデータは不足しているため、今後さらに詳細に研究を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果を受け、次年度では歯に露髄処置を施したラット処置群を作成し、各種抗体を用いた免疫染色を実施し、データの解析を行う。その後、それらのアンタゴニスト等をラット処置群に適用することで、イオンチャネルや神経ペプチドの分布、あるいは歯髄や周囲組織の変化に違いがみられるか解析を行い、データをまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画からおおむね順調に実験が進み、予定よりも効率よく研究を進めることができたために次年度使用が生じた。次年度請求額と併せて、今後の研究進捗のために使用する予定である。
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