研究課題/領域番号 |
17K17081
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
逸見 晶子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40613055)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 石灰化 / SEM-EDX / 骨 / 軟骨 / Ⅱ型コラーゲン / 免疫染色 / 質量顕微鏡 |
研究実績の概要 |
平成 29 年度まで、軟骨内骨化における軟骨の石灰化を対象として、ミネラロームを検討するために、生後2週齢ラットの下肢を 4%パラホルムアルデヒドで固定し、非脱灰でパラフィン包埋し試料として利用した。切片をミネラルの構成元素であるカルシウムとリンおよび有機質の構成元素である炭素の基質における分布と濃度について SEM-EDX を利用して解析した。また、基質のタンパクの分布については、抗 II 型コラーゲン抗体と抗 X型コラーゲン抗体を用いた蛍光抗体法による免疫染色で検討し、SEM-EDX および蛍光抗体法の実験条件を確立した。平成 30 年度では、生後2週齢ラットを新たに固定し、下肢の非脱灰パラフィン包埋試料を作製し、検討を進めた。研究代表者の妊娠以降、体調管理のため研究活動を制限せざるを得ず、平成 30 年10月以降、研究を中断し、令和元年(2019 年)度は研究に携わらなかった。令和 2 年度は、共同研究者の協力でラットに加え、マウスを研究対象として利用する体制を整え、繁殖および飼育を開始した。
令和 3 年度は引き続く新型コロナウィルス感染症蔓延のため研究活動は制限されたが、以下の研究を推進した。(1) 研究中断前に固定した生後2週齢のラットの下肢の非脱灰パラフィン包埋試料を用いて、切片を作製してカルシウムとリンおよび炭素の元素の基質における分布と濃度について、SEM-EDX を利用して可視化した。(2)SEM-EDX 解析した切片を用いて、抗 II 型コラーゲン抗体の蛍光抗体法による免疫染色を施し、II 型コラーゲンの分布を可視化する実験の方法と条件を確立した。(3)SEM-EDX で可視化した下肢骨の成長板軟骨におけるカルシウムとリンおよび炭素の元素分布データと蛍光抗体法で可視化した II 型コラーゲンの分布データを統合し、II 型コラーゲンが高濃度に分布する領域に炭素濃度が高く、低濃度の領域でカルシウムとリンの濃度が高い傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、研究活動が制限されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今まで蓄積した研究データを基に論文執筆するのと並行し、以下の研究を推進する。(1) 生後2週齢ラットおよびマウスの下肢を4%パラホルムアルデヒドで固定後、凍結包埋して連続切片を作製し、切片を質量顕微鏡解析用として導電性を持たせ酸化インジウムスズがコーティングしてある専用スライドガラスに載せる。切片は超低温フリーザーに保管する。(2) 超低温フリーザーに保管した切片を凍結乾燥し、組織切片上に基準点を機械的に設定し、蒸着操作なしに低真空モードに設定した走査電子顕微鏡でSEM-EDX解析し、下肢骨のミネラロームのSEM-EDX解析イメージングをデータとして取得する (3)上記(1)で保管した連続切片にDHB(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)のマトリックスを塗布して、質量顕微鏡で検討し、試料のプロテオームを解析しデータを取得する。(4) 画像統合ソフトを用い、ミネラローム(SEM-EDX解析イメージング)とプロテオーム(質量顕微鏡解析イメージング)を統合し、石灰化解析イメージングとして可視化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、研究活動が制限されたため。 (使用計画) (実験用動物・マウス)令和4年度では、質量顕微鏡用に生後2週齢30匹(60千円)が必要である。(プラスチック・ガラス器具)質量顕微鏡用等の試料作製で必要である。(質量顕微鏡用スライドガラス)専用のスライドガラス(50千円/25枚)が最少で50枚(100千円)必要である。(質量顕微鏡利用料金)40千円/日として年間5日間の利用を見込む。(人件費・謝金)資料整理のための人件費を10千円見込む。(国内旅費)研究打ち合わせ及び成果発表のための旅費として、200千円を見込む。(その他)成果発表投稿料として100千円を見込む。
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