研究実績の概要 |
平成29,30年度まで、軟骨内骨化における軟骨の石灰化を対象として、ミネラロームを検討するために、生後2週齢ラットの下肢を4%パラホルムアルデヒドで固定し、非脱灰でパラフィン包埋し試料として利用した。切片をミネラルの構成元素であるカルシウムとリンおよび有機質の構成元素である炭素の基質における分布と濃度についてSEM-EDX(走査電子顕微鏡によるエネルギー分散型X線分析)を利用して解析した。また、基質のタンパクの分布については、抗II型コラーゲン抗体を用いた蛍光抗体法による免疫染色で検討し、SEM-EDXおよび蛍光抗体法の実験条件を確立した。研究代表者の妊娠以降、体調管理のため研究活動を制限せざるを得ず、平成30年10月以降、研究を中断し、令和元年(2019年)度は研究に携わらなかった。令和2年度、3年度は、新型コロナウィルス感染症蔓延のため研究活動は制限されたが、SEM-EDX解析した切片を用いて、抗II型コラーゲン抗体の蛍光抗体法による免疫染色を施し、II型コラーゲンの分布を可視化する実験の方法と条件を確立した。また、SEM-EDXで可視化した下肢骨の成長板軟骨におけるカルシウムとリンおよび炭素の元素分布データと蛍光抗体法で可視化したII型コラーゲンの分布データを統合し、II型コラーゲンが高濃度に分布する領域に炭素濃度が高く、低濃度の領域でカルシウムとリンの濃度が高い傾向が認められた。令和4年度では、SEM-EDX解析および免疫染色の追加実験を行った上で、研究成果を以下の論文としてまとめ、Journal of Oral Biosciences 64(4):461-464に発表した。
|