研究課題/領域番号 |
17K17082
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
斎藤 浩太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10733719)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マウス / オステオポンチン / DMP1 / 器官培養 |
研究実績の概要 |
外傷などの物理的損傷に応じて修復することは生体に備わる基本的な防御機構である。しかし歯の損傷後に起こる新たな象牙芽細胞の分化のメカニズムは十分解明されていない。本研究では、象牙芽細胞の分化の鍵となる因子を同定するとともに、修復象牙質形成を制御する象牙芽細胞内シグナル伝達経路を明らかにし、歯の損傷後の象牙芽細胞の分化機構を解明することを目的とする。本年度では、SIBLINGファミリータンパク質の1つであるDMP1に着目し、歯の損傷後の象牙芽細胞分化過程における役割を検索した。生後5~6週齢の野生型およびオステオポンチン遺伝子欠損(Opn KO)マウスの上顎第一臼歯近心歯頸部に窩洞を形成した。通法にしたがってパラフィン切片を作製した後、抗DMP1抗体を用いた免疫染色およびDmp1のin situハイブリダイゼーションを行った。Opn KOマウスでは、術後3日、新たな象牙芽細胞の分化のタイミングと一致して歯髄細胞のDmp1の発現が上昇した。このことから、DMP1は象牙芽細胞分化の足場としてのオステオポンチン(OPN)の役割を代償している可能性が示唆された。次に、3週齢の野生型およびOpn KOマウスの上顎第一臼歯を抜去後、メスで半分に割断した後、Dmp1のsiRNAを培地に加え、Trowel法にて器官培養を行った。培養7日後に歯髄を摘出し、RT-PCRにてDmp1の発現を比較した。siRNA添加群では対照群と比較してDmp1の発現が低下しており、象牙質・歯髄複合体の器官培養系でのsiRNAによる遺伝子ノックダウン実験系が確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度では、DMP1に着目して歯の損傷後の象牙芽細胞分化過程における役割についてin vivo窩洞形成実験モデルおよびin vitro器官培養実験モデルを用いて解析を行った。特に、in vitro器官培養系におけるsiRNAによる遺伝子ノックダウン実験系の確立は象牙芽細胞の分化の鍵となる因子の解明に向けて大きく前進させることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
確立したsiRNAによる遺伝子ノックダウン実験系を用いて、Dmp1に加えて、他のSIBLINGファミリータンパク質のノックダウンの影響を解析し、歯の損傷後の象牙芽細胞分化機構の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:年度末の試薬の支払が4月になり、次年度となったため。 使用計画:すでに執行済みであり、4月に支払が完了している。
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