これまでに正常歯根膜における細胞と歯根膜線維束の3次元微細構造(2016年度 Scientific reports誌、2018年度Journal of periodontal resewarch誌)について報告してきた。FIB/SEMによる3次元微細構造解析が可能となって初めて実現できたこれらの形態研究結果については総説としてまとめ、2019年度にAnatomical Science international誌(https://doi.org/10.1007/s12565-019-00502-5)へ報告した。 これらの知見を基に歯根膜形成過程・メカニズムの解明を目的にFIB/SEMを基軸として各種イメージングを用い、通常の力学的負荷を変化させたモデルマウスを作成・解析を進めた。その結果、力学的負荷が変化すると細胞配列が変化すること・歯根膜線維束は細くなる傾向を示した。さらに、実験群および対照群のいずれにおいても広範囲な細胞性ネットワークが存在することをも示した。これらの結果をまとめ、Scientific reports誌( https://doi.org/10.1038/s41598-019-45963-w)へ報告した。 また、歯根膜細胞性ネットワークのセメント質境界面における形態的特徴について、FIB/SEMを用い3次元構造解析を行った。その結果、歯根膜細胞の突起とセメント細胞の突起が連結しており、セメント質内の細胞も細胞性ネットワークを形成していた。これまでに我々は歯根膜細胞と骨芽細胞・骨細胞の形態学的な連結も報告してきた(2016年度 Scientific reports誌)。これらの結果より、セメント質-歯根膜-骨細胞ネットワークが存在しており、この異種細胞間ネットワークは歯根膜の形成に関与する可能性が考えられた。これらをまとめ、Microscopy誌(https://doi.org/10.1093/jmicro/dfz117)へ報告した。
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