立効散は,古来より歯痛などの口腔内疼痛に「立ち処に効く」鎮痛薬として用いられてきた漢方薬で,その薬効ならびに投与用量は東洋医学的見地から経験則でのみ評価されている.そこで本研究では,立効散の処方を西洋医学的に確立する為に体内動態と鎮痛効果の関連性を研究した.その結果,立効散は経口投与で速やかに代謝され血中に移行することが明らかになった.鎮痛効果は用量依存的に増強され,酸性NSAIDs(アスピリン)と同様のレベルまで達することが明らかになった.加えて,前処置時間を延長することで鎮痛効果が更に増強された.これらの結果は立効散を慢性処方することで難治性疼痛の緩和に寄与できる可能性を示唆している.
|