研究課題/領域番号 |
17K17101
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 美弥子 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10631864)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 低酸素 / 血管内皮細胞 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
腫瘍組織は過剰な脂肪の増殖と不十分な血管新生により低酸素環境に陥っている。腫瘍細胞は低酸素環境において、細胞死の回避、薬剤抵抗性や新順応、転移能の亢進などを獲得する可能性が明らかになってきた、一方、申請者はこれまでに、腫瘍内では腫瘍血管です他低酸素に曝される場合があることを見出した。腫瘍血管内皮細胞は染色体異常など、正常血管内皮細胞との間に性質の違いがあることが知られている。我々はこれまでに通常酸素分圧下において高栄養の血管内皮細胞を用いて、腫瘍組織から腫瘍血管内皮細胞の分離、培養を行い その異常性、特異性を確認してきた。さらに我々はすでに、低酸素環境が正常血管内皮細胞に対して、染色体の異常性の獲得を誘発する可能性を見いだしている、また、その機序において低酸素環境において産生される、活性酸素種(ROS)が重要な役割を果たしている可能性も示唆してきた。以上を踏まえ、低酸素条件における正常血管内皮細胞の挙動について検討を行った。 申請から現在まで、1)低酸素培養条件においての細胞の表現型の解析、2)表現型の変化に伴う遺伝子発現の変化の解析による腫瘍血管内皮マーカー候補分子の探索、については引き続き探索を行っている。 さらに、低酸素における活性酸素の関連の検討として、1)低酸素培養条件において見出されるであろう異常性について、低酸素で産生されるROS を抑制することでその誘発を妨げることが出来るか。細胞の表現型、それに伴う遺伝子発現の変化を解析し、検討中である。2)上記で見出された異常性について、正常血管内皮細胞にROS を誘導することでも誘発されるかを検討している。3)上記、実験の結果をもとに、腫瘍血管内皮細胞の異常性が、ROS を抑制することによって変化するのかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸素培養条件においての細胞の表現型の解析、並びに表現型の変化に伴う遺伝子発現の変化の解析による腫瘍血管内皮マーカー候補分子の探索について検討し、まとめることができた。 さらに、当該年度以降の研究目的としていた、低酸素における活性酸素の関連の検討として、1)低酸素培養条件において見出されるであろう異常性について、低酸素で産生されるROS を抑制することでその誘発を妨げることが出来るか。細胞の表現型、それに伴う遺伝子発現の変化を解析すること、2)上記で見出された異常性について、正常血管内皮細胞にROS を誘導することでも誘発されるかを検討すること、3)上記、実験の結果をもとに、腫瘍血管内皮細胞の異常性が、ROS を抑制することによって変化するのかを検討することについても順次進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり引き続き、低酸素環境における血管内皮細胞の挙動について検討する。また、低酸素における活性酸素の関わりを検討する。さらに、in vivo 腫瘍組織において血管内皮細胞の低酸素状態を解析するため、腫瘍の組織切片を用いて検索を行い、腫瘍血管の低 酸素性と、がんの悪性度との関連について比較検討を行う。ROS などの発現因子につ いても検討を行う。 また、研究協力先のスタッフとも継続的にディスカッションを行い、実験や研究計画の検討、再計画を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)今年度は次年度以降に向けての準備段階の研究内容となった。研究のまとめや、内容の検討や関連する研究調査の期間が長かった。そのため、発表する機会が少なくなり当初の予定より少ない支出の範囲にとどまる結果となった。 (使用計画) 次年度は今年度の結果を踏まえ、さらに解析を進める。研究内容から特殊や試薬を必要とするため、引き続き支出が大きくなることが予想される。また、最終的な研究発表の機会も増えるため旅費などの支出が増えると思われる。
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