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2018 年度 実施状況報告書

頭頸部癌の発癌・進展におけるPRMT5の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K17106
研究機関自治医科大学

研究代表者

天野 雄介  自治医科大学, 医学部, 助教 (70571587)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード口腔癌 / PRMT5 / EMT
研究実績の概要

タンパク質アルギニンメチル基転移酵素(Protein arginine methyltransferases; PRMT)5は, 種々の癌でPRMT5 の遺伝子発現およびタンパクの増加が示され, oncogenic な性格を有することが明らかになりつつある. 術前治療が行われずに外科的切除された頭頸部癌 59症例と上皮異形成9症例を用いて, 免疫組織化学的にPRMT5の発現を検討した.1)正常上皮では, 基底層付近の細胞質に弱陽性細胞を認めた. 2)上皮異形成では, 異型細胞の細胞質主体に正常上皮に比して強く染色される陽性細胞を認めた. HNCの胞巣中心部では, 細胞質に局在するのに対して, 浸潤先進部では核と細胞質に局在する傾向を認めた.3) 2)の結果を踏まえて, 口腔癌浸潤先進部の形態学的分類である山本・小浜(YK)分類を用いPRMT5の局在を, 連続標本を作製して詳細に検討した. 先進部が胞巣状を示すYK-1~3に相当す
る23症例は, 22症例が細胞質に局在し, 1症例が核と細胞質に局在した. 一方, 紡錘形ないしびまん性を示すYK-4C, 4Dに相当する36症例では, 25症例が細胞質に局在し, 11症例が核と細胞質に局在した. すなわち, YK-4C, 4Dの症例では, YK-1~3の症例に比して有意に核と細胞質に局在した(YK1~3 vs YK4, p=0.0147). PRMT5が核と細胞質に局在する症例では, 上皮系マーカーであるCytokeratin (CK) 17とE-cadherinの発現が細胞質に局在する症例に比して, 減弱していた
(p=0.0002, 0.0016). また, YK-4の症例でも同様に, CK17とE-cadherinの発現がYK-1~3の症例に比して減弱していた(p=0.0296, 0.0065).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PRMT5はHNCにおいて腫瘍発生の初期や浸潤増殖に重要な機能を担っていることが示唆された. また, PRMT5の細胞質から細胞質および核への局在変化は, 上皮系マーカーの減弱と相関を認めたことから, 上皮間葉移行(Epithelial-Mesenchymal Translation; EMT)の関与が示唆された. Pathology International誌へ報告した.

今後の研究の推進方策

免疫組織学的にPRMT5とあるEMT因子との関連することが得られた. そのメカニズムを細胞株を用いて検討中である.

次年度使用額が生じた理由

先述のように免疫組織学的にPRMT5とあるEMT因子との関連することが得られた. そのメカニズムを細胞株を用いて検討するために, PRMT5のノックダウンベクターを作製あるいは購入を検討していたが, 適当なベクターが得られなかったために研究費の一部を未使用とした.
最近, 共同研究にてすでに検証済みの新たなウイルスベクターを入手出来たため, それを調整し細胞に添加し, PRMT5のノックダウン実験を行う予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Liver heterotopia associated with congenital diaphragmatic hernia: Two case reports and a review of the literature.2019

    • 著者名/発表者名
      Mito K, Amano Y, Oshiro H, Matsubara D, Fukushima N, Ono S.
    • 雑誌名

      Medicine (Baltimore).

      巻: 98(4) ページ: e14211

    • DOI

      10.1097/MD.0000000000014211.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A modified preauricular and transmandibular approach for surgical management of osteosarcoma of the mandibular condyle within the masticator space and infratemporal fossa: a case report.2019

    • 著者名/発表者名
      Noguchi T, Sugiura Y, Okada N, Tsuchiya Y, Hyasaka JI, Sasaguri KI, Sarukawa S, Fujita A, Amano Y, Mori Y.
    • 雑誌名

      J Med Case Rep.

      巻: 13(1) ページ: 58.

    • DOI

      10.1186/s13256-019-1975-1.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of protein arginine methyltransferase-5 in oral squamous cell carcinoma and its significance in epithelial-to-mesenchymal transition.2018

    • 著者名/発表者名
      Amano Y, Matsubara D, Yoshimoto T, Tamura T, Nishino H, Mori Y, Niki T.
    • 雑誌名

      Pathol Int.

      巻: 68(6) ページ: 359-366

    • DOI

      10.1111/pin.12666.

    • 査読あり
  • [図書] 別冊BIO Clinica 慢性炎症と疾患 口腔疾患と慢性炎症2018

    • 著者名/発表者名
      天野雄介, 仁木利郎
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      北隆館

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公開日: 2019-12-27  

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