研究課題/領域番号 |
17K17119
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆明 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (90778432)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯質接着 / リン酸 / エナメル質 / マルチモード / ABRZ / 歯学 |
研究実績の概要 |
わが国で使用されている歯質接着性ボンディングシステムの多くは、酸性の機能性モノマーを用いたセルフエッチングシステムに分類される。近年、歯質、特にエナメル質への接着を補うことを目的として、1液性セルフエッチングシステムであるユニバーサル接着システムを用いる前に、リン酸を用いた前処理を行う「マルチモード」という概念が提唱されている。しかしながら象牙質歯面に対するリン酸塗布は過度な脱灰を招く懸念があり、リン酸に代わる歯面処理剤の検討が必要である。そこで初年度はリン酸に代わる歯面処理剤として、有機酸を含むエナメルコンディショナー(松風)・機能性モノマーM-TEG-Pを含むマルチエッチャント(ヤマキン)がエナメル質との接着に及ぼす影響を検討した。 エナメル質接着試料を作製、微小せん断接着試験および人工脱灰液処理後のエナメル質との接着界面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することで接着界面の耐酸性を評価した。Kエッチャントおよびエナメルコンディショナーを用いた群で、微小せん断接着試験の結果が有意に向上し、SEM観察においても耐酸性に優れた界面が観察された。一方、コントロール群およびマルチエッチャント群においては、酸に対して脆弱部erosin領域が観察される傾向が認められた。 以上よりエナメル質に対するリン酸およびエナメルコンディショナーを用いた前処理は、1ステップ接着システムにおける接着界面に有効であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に関連する国内発表を1報予定している。 各種歯面処理材がエナメル質接着へ及ぼす影響、日本歯科保存学会2018年度春季学術大会(148回)(横浜、平成30年6月14,15日)。
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今後の研究の推進方策 |
エナメル質に対する接着に関して一定の知見を得られたが、象牙質に対する接着については詳細な検討が行われていない。今後は象牙質との接着試験や、接着界面の耐酸性を評価を行う。 あわせてハイドロキシアパタイトとの反応についても検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
機器利用を計画的に行うことで機器使用料を予定より抑えることができた。また出張時の宿泊費、日当を計上しなかったことで経費を抑制したため。 研究計画を遂行するため必要な材料、器材とSEMなど分析装置の保守・整備費などに研究費をあてる。
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