研究実績の概要 |
本研究の目的は、コンピューター制御によってチップ先端の加工および調整が可能となった半導体レーザーの照射によるPDT(Photodynamic therapy)を用いることで、根管内の清掃困難な部位の残存細菌や不良肉芽の処理を行い、根管の拡大を従来よりも最小限に留めつつ、レーザーを用いた根管洗浄によって根管の無菌化を可能にするための、生体により安全なPhoto dynamic-LAI根管洗浄を開発し、臨床応用を確立することである。 これまでに我々は、当初の予定通り、Photo dynamic-LAI 洗浄時の根尖孔外圧力測定、高速度カメラによる根尖孔外の観察高速水流の流量分布とキャビテーション発生の分布の解明について、Er:YAGレーザーを用いた従来のLAIおよび新規半導体レーザーを用いたLAIで生じる根管内での蒸気泡の挙動および、新規半導体レーザーを用いたLAIにおける、歯髄を模した軟組織を用いた模擬根管内での溶解能力に着目し実験を行った。昨年度は、これらの実験についての論文の発行を待ち、年度を跨いだため延長となった。 論文での発表が実現したため、本研究の遂行は完了したが、より深い探究のため、令和元年においては以下の実験を行い、論文での報告を行った。 コンピューター制御によってチップ先端の加工および調整可能な半導体レーザー (Alta Modular Laser System)を用いたPhoto dynamic-LAI根管洗浄における根尖孔外に生じる圧力を検証するため、加工を施したチップを用いて、2W (120mJ, 16pps)の条件で作用させた群と、従来のシリンジを用いた根管洗浄の群の2群において、根尖孔外における圧力を計測した。その結果、Photo dynamic-LAI根管洗浄における根尖孔外に生じる圧力は、従来のシリンジを用いた根管洗浄に比べ有意に低いことが判明した。
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