研究実績の概要 |
歯科治療では硬組織の画像診断は主にエックス線にて行なわれるが、解像度に限界があり初期う蝕は検知されづらいことや、被爆の問題から頻回に撮影できないのが現状である。光干渉断層計(Optical Coherence Tomography, 以降OCT)は、近赤外光を光源に利用し、非破壊にて組織の断層画像を病理組織切片に近い精度でリアルタイムで観察できる断層画像装置である。OCTを用いて、エックス線では難しかった、歯の亀裂の診断、コンポジットレジン修復のギャップの観察が行われている。さらに、エナメル質表層下のミネラル密度の測定が可能であることが明らかにされており、3次元画像の構築も可能である。 本年度は、イオン放出能と酸緩衝能を併せ持つS-PRGフィラー含有のシーラント材、フッ素徐放性シーラント材、レジン系シーラント材をシーラント材周囲のエナメル質の脱灰についてOCTにて評価した。 牛歯エナメル質ブロックに各シーラント材を充填し、脱灰液(2.2 mM Ca, 2.2 mM P, 50 mM acetic acid, pH4.5)に5日間浸漬した。シーラント材から、100μmと900μm の部位のエナメル質脱灰量をOCT(Santec OCT-2000) にて評価を行った。脱灰前浸漬前は、すべての試料で差は認められなかった。脱灰液浸漬後は、S-PRGフィラー含有のシーラント材、フッ素徐放性シーラント材周囲にて脱灰抑制が認められた。
|