令和2年度は、昨年度に引き続き歯科用コーンビームCT(以下CBCT)画像データでの根尖病変ならびに周囲構造の形態評価を行った。現在、2016年4月から2019年9月の期間に昭和大学歯科病院歯内治療科を受診しCBCT撮影を行った患者1131名のCBCTデータを引き続き解析中である。各歯種について、根管治療の質と病変の広がり・皮質骨への影響(開窓・裂開の有無)を中心に画像評価を行うことを目標とし、研究を行った。この記述統計データについては、より詳細な考察を加え学会での発表を予定している(日本歯科保存学会)。また、CBCTを撮影する際のエックス線照射条件とノイズの発生による画質の低下が、CBCT画像の診断結果にどのような結果を及ぼすかについての研究を行っている。具体的には、ヒト抜去小臼歯(上顎・下顎)に対し異なるエックス線照射条件下でCBCT撮影を行い、得られた画像の画質をコントラスト・ノイズ比(CNR)を用いて評価した。また、異なるノイズ条件の画像に対し複数の評価者で読影を行い、正しい根管の構造を正確に読影できるかについて検討を行った。これにより臨床上有用となる画像の条件について評価することが可能になると予想される。前述の研究で使用した患者1131名のCBCTデータは、部位や撮影範囲によって撮影条件が異なっており、撮影時のノイズが多く認められたCBCTデータに対しても正確な読影を行えるようになることが期待される。
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