研究課題
現代の歯科治療において、“Minimal Intervention(MI)”コンセプトに基づく接着性レジンとコンポジットレジンを用いた接着歯科治療は、臨床的有効性と経済的効率性の観点から患者に大きな利益をもたらすことから世界中で幅広く普及している。また、近年の目覚ましい接着歯学の発展に伴い、高い接着強さを示す接着性レジンや強度の高いコンポジットレジンが開発され臨床応用されているが、その長期耐久性については未だ研究、改良が必要である。過去の報告によると、コンポジットレジンにフルオロアルミノシリケートガラスとポリアクリル酸を内部に含むシリカマイクロカプセルを含有させることで、コンポジットレジン内に微小な亀裂が生じた際に流入した水によりシリカマイクロカプセル内部に含まれていたポリアクリル酸が流出し、フルオロアルミノシリケートガラスと反応し、グラスアイオノマーセメント(GIC)を形成、そのイオン結合によりコンポジットレジン内のポリマーが自動修復することが可能だといことが明らかになっている。そこで本研究の目的はこのポリマーの自動修復システムを接着システムに応用することで接着性レジンの長期耐久性を向上させ、さらなる接着歯科治療の発展に寄与することである。前年度においては、接着性モノマーとポリアクリル酸含有のシリカマイクロカプセルを様々な濃度で配合し試作した接着性レジンについて抜去歯を用いた微小引っ張り試験を行い臨床応用が可能な適性濃度を検討した。今年度も検討を続け、機会的強度や特性、長期耐久性の検討も行う予定である。
3: やや遅れている
本研究の目的はポリマーにおける自己修復システムの接着システムへの応用という新しい試みであるため、接着性レジンの適性な成分、濃度の検討が最も重要である。そのため現在はまだ基礎研究の段階ではあるが、今後は具体的な機会的特性や長期耐久性なども検討を行うことで研究成果を発表していく予定である。
本研究では、接着性レジンの長期耐久性向上のために、ポリマーの自己修復システムを応用するという新しい手法を試みており、現在はまだ基礎研究の段階であるが、将来的には長期耐久性に優れた新しい接着システムの開発へと展開していく予定である。
予定よりもやや計画が遅れているため、次段階に使用予定の機械や材料の購入が遅れているため
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
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