研究課題/領域番号 |
17K17128
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 蘭奈 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70711068)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯学 / 抗菌成分 / 電子線照射 / レジン系材料 / 固定化 |
研究実績の概要 |
本年度は、濃度の異なるMDPBコート液を調製し、各コート液をレジン試料に塗布して電子線を照射し、MDPBを固定化したコーティングレジン試料を作製した。また、各コーティングレジン試料表面でのMDPBの結合状態を評価した。 30%エタノール溶液にMDPBを0、5、10、20、50、80%の濃度で溶解させたMDPBコート液を調製した後、各コート液を直径10 mm、厚さ2 mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)ディスク上面に塗布し、コーティングレジン試料を作製した。原子燃料工業株式会社(大阪府泉南郡)所有の電子加速器を用いて、加速電圧10 MeVの電子線を試料上面に照射した後、エタノール水溶液に浸漬して試料に付着したMDPBモノマー、あるいはそのホモポリマーを除去した。 電子線照射後のコーティングレジン試料表面でのMDPBの存在を確認するため、エックス線光電子分光装置(XPS)を用いてMDPB由来のN1s/Br3dの検出を行った。その結果、コート液中のMDPBの濃度が高くなるにしたがって、検出されたN1s値が高くなることが分かった。次に、水中浸漬後のレジン表面でのMDPB結合状態を評価するため、電子線照射後のコーティングレジン試料を蒸留水中に浸漬し、溶液中に溶出した未重合MDPB濃度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。水中浸漬後2日間は溶液中に未重合のMDPBモノマーが検出されたものの、3日目以降はその溶出が認められなかったことから、電子線照射後のレジン表面に残存した未重合のMDPBを除去するには、エタノール洗浄後3日間の水洗を行う必要があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実施計画に則り、MDPB固定化レジン試料を作製し、作製したレジン試料表面でのMDPB結合状態を評価して、前述のような結果を得た。 ただし、平成29年11月9日から平成31年3月31日の間、産前産後の休暇および育児休業を取得したため、当初の計画からはやや遅れている。しかし、補助事業期間の延長申請を提出し、すでに承認が得られているため、休業取得前までの本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に得られた結果に基づいて、作製したMDPB固定化レジン試料の抗菌効果を検討する。上述のように、産前産後の休暇および育児休業の取得に伴い、補助事業期間を延長し、平成31年4月1日から研究を再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述のように、平成29年11月9日から産前産後の休暇および育児休業を取得したため、当初計画していた抗菌試験は実施していない。したがって、抗菌性評価に係る試薬、消耗品はほとんど購入しておらず、次年度使用額が生じた。 研究再開予定である平成31年4月1日以降に、それらの培地や試薬を購入する。また、これらの研究遂行に係る消耗品は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。
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