研究課題/領域番号 |
17K17140
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
飯野 正義 日本大学, 歯学部, 専修医 (00754871)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | OCT / 光干渉断層画像化法 / tooth wear / 咬耗 |
研究実績の概要 |
客観的な診断方法が確立していないtooth wear に対して,口腔内3次元データおよび局所の OCT3次元データを応用し,tooth wear 診断モデルを構築する。すなわち,採取時期の異なる口腔内全体の3次元データの差分から欠損の進行箇所の検出,定量を行い,進行速度を算出する。また,口腔内局所のOCT による断層3次元データから,残存歯質量を定量化する。これらのデータを統合することによって,tooth wear 診断モデルとし,非侵襲的手法による歯牙摩耗症の検査評価法を臨床的に確立し,治療方針を立案の一助とすることが本実験の目的である。 平成29年度は,基礎実験として人工歯および牛歯を用いた実証実験を行った。すなわち,顎歯模型にカーバイドバーを用いて人口 tooth wear を作成する。これを,印象採得し,石膏模型をデジタイザによって3次元データ化した。得られた wear 前後のデータの差分をとることで,wear 進行箇所と体積を算出した。これら,wear 体積値は,マイクロCTによる計測値と比較,検討を行った。その結果,条件によって精度は異なるものの,計測結果の妥当性が確認された。また,OCT 計測によって得られた内部情報を伴う3 次元データを,表面形状が一致する位置で統合し,tooth wear 診断モデルの構築を行っている。 また,牛エナメル質および象牙質を,各種酸性水溶液に浸漬した状態で衝突摩耗試験を行った。これらを,OCT を用いて表面形状,歯質残存量および脱灰状態の観察を行い,LSM による計測値と比較,検討を行った。その結果,口腔内の欠損の定量が可能であることが示唆された。 本研究では,恒温,恒湿にて OCT 観察が必要となるため,治具と併せて実験環境の開発を行った。これにより,実験を通じて同一環境,同一条件での経時的な計測が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OCT ,デジタイザを用いた形状測定については,いかなる環境においても大きな誤差がなく計測可能である一方,OCT を用いた内部性状の計測は,歯質の湿潤状態や計測方向などにより大きく変化する。したがって,温度,湿度,計測角度,位置などを一定条件下で計測を行う必要があり,その構築と検証に大きな時間が割かれてきた。現在,環境構築は完了し,解析と平行してさらなるデータの収集を継続しており,解析方法が確立すれば,成果発表が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に実施した研究成果をもとに,デジタイザ,OCTを用いて tooth wear 3次元モデルの構築および差分解析を行ない,臨床における計測,解析方法を確立する。この方法に従って,計測時期のことなる臨床データを収集し,tooth wear 3次元モデルによって tooth wear の検出と定量が可能であることを実証予定である。 本研究の発展,遂行においては申請者の所属する研究室の医局員および大学院生が協力者となり,体制は万全である。また,得られたデータを申請者の所属する主任教授に随時報告し,研究計画,内容に対するフィードバックを受けることで,研究が当初計画どおり進行しない場合も対応する。得られた成果は,国内および国外の学会で発表するとともに,学術論文として国際専門誌に投稿予定である。
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