研究課題
Co-Cr-Mo合金粉末をレーザ積層造形装置 に供し,最適化されたサポート設計の下、直径6 mmの円柱状試料とクラスプ形状試料を,積層方向に対して0°,45°,90°の3方向にて,窒素雰囲気下,メーカー指定のパラメーターで製作した.その後,アルゴン雰囲気下で1150℃において係留時間6時間の熱処理を施した.熱処理後,円柱状試料は厚さ1 mmに切断した後に鏡面・電解研磨を施し,共焦点レーザ顕微鏡 (CLSM), 走査型電子顕微鏡 (SEM), X線回折装置 (XRD) ,電子線後方散乱回折装置 (EBSD)を用いて組織評価を行った.クラスプ形状試料では疲労試験を行った.試料を疲労試験機に固定し,クラスプ先端部を100万サイクル0.25mm及び0.5mmの周期的変形に供した.荷重・変形曲線を観測し,クラスプの変形に要した荷重量,破断に要した回数,及び永久変形量を求めた.熱処理前の試料では造形方向に平行に伸長した柱状組織が観察され造形時の試料の角度により異方性が顕著に観察された.また,EBSD分析結果では比較的高いKAM値を示した.疲労強度は造形時の角度に応じて変化し,強い異方性が観察された.一方,熱処理後の試料ではいずれの角度でも等軸状の結晶粒が観察され,EBSD分析結果からは低いKAM値が計測された.疲労試験結果からは異方性が消失していることが明らかとなり,疲労強度の向上も認められた.以上の結果から1150℃の熱処理で残留応力の開放と再結晶化が起き,異方性を緩和できる可能性が示唆された.
2: おおむね順調に進展している
実験は順調に遂行できており、国内および国際学会で発表することができた。
今後組織学的な異方性の消失が耐食性に与える影響について評価を行う予定である。
CoCr合金粉末が医療機器として承認され、価格が2倍近くに高騰してしまったため最終年度に繰り越して購入することとなった。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
Materials Letters
巻: 245 ページ: 53~56
10.1016/j.matlet.2019.02.085
Materials Science and Engineering: A
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