顎顔面骨折はスポーツ中の外傷として頻発するものの一つである。受傷した競技者が早期に安全に競技復帰するためにフェイスガード(以下、FG)が一時的な患部保護具として用いられる。FGには、安全性と競技者のパフォーマンスへの影響を警備にすることが求められているが、現状、安全性に対する問題の報告は少ないが、視野が妨げられる、ズレ、重い等のパフォーマンスへの影響の不満が多く、安全性を保ちつつ軽量かつ薄いFGの開発が求められている。 現在、FGは硬質な熱可塑性樹脂で作成されたコア材の両面もしくは片面を軟質なクッション材で覆う三層構造または二層構造を取られている。コア材に関しては、機械的強度を保ちつつ軽量にしたいことから熱硬化性樹脂、繊維強化熱硬化性樹脂も検討されているが、作成の技術やコストがかかることからあまり用いられていない。一方、繊維強化熱可塑性樹脂(以下、FRTP)は自動車業界、スポーツ器具業界等で優れた機械的強度を持ちつつ、成形性の良さから注目が高まっており、コストも下がりつつある。FRTPの利用やコア材の構造を改良することで安全性を保ちつつ、軽量かつ薄いFGの作成を目指している。 今年度(2019年度)は、実地でのテストをするために学内での倫理審査および実地試験の準備を行ったが、実地試験までは至らなかった。材料の検討としては、3Dプリンタでプリント可能な材料での衝撃試験を行い、従来の材料との比較を行い、同等の性能があることを確認した。この結果は、コア材の構造の多様性や新しい作成プロセスを検討する上で意味がある。また、前年度までに得たデータの解析、論文執筆を行った。
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