研究実績の概要 |
歯根破折は抜歯診断に至る主な原因の一つであり, 根管治療後の支台築造が最も影響する治療過程である.従来型ガラス繊維補強型コンポジットレジン(FRC)は歯牙に負担の少ない歯台築造方法として広く臨床で応用されている一方で,従来型FRCはガラス繊維とコンポジットレジンの複合体であることにより機械的強度が不足しておりその適応症が極端に限られている.本研究の目的は,新たに開発された単一構造FRCを用いて,歯牙に優しく且つ機械的強度に優れた支台築造方法を開発することである. 平成29年度の研究目的は,3次元有限要素法を用いて支台築造を行った支台歯の応力解析を行い,歯髄処置の施された歯牙に最もストレスが少なくなると考えられる,単一構造FRCを用いた築造体形態を検討することである.まず有限要素解析に先立ち,築造体に用いる材料の機械的性質の評価を行った.材料は従来型FRC(ガラス繊維+コンポジットレジン),及び単一構造型FRC(ショートファイバーペースト)を用い,引張試験を行った.各材料の引っ張り強さ,弾性率,靭性値を評価し,異方性に関しても検討した.さらに,既存の牛根およびヒト上顎中切歯の3Dモデルを用いて予備解析を行った.材料定数は曲げ試験のデータを用いた.築造体の長さ,太さに関して主に築造形態に関して検討し,牛根とヒト歯根のモデル間の比較を行った.さらに,築造体の削り出し方法を検討するにあたり,既存のCAD/CAMシステム上でのデータ取り込み,モデリングに関して検討を開始した.
|