研究課題/領域番号 |
17K17161
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江口 香里 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10779614)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨代謝 / 骨形成 / BMP-2シグナル |
研究実績の概要 |
本研究は、IGFBP-3自身が有する新たな機能の可能性に着目し、骨組織におけるIGFBP-3のIGF非依存的作用機序を解明し、IGFBP-3を介した骨代謝の均衡制御の可能性を検索すること、また、この知見を応用し、増生骨の長期維持を可能にする新たな骨再生療法の基盤を構築することを目的としている。平成30年度の主な目標は、骨組織および骨関連細胞におけるIGFBP-3およびIGFBP-3受容体の発現について解析を行い、骨関連細胞に対するIGFBP-3の作用について解析を行うことであった。 これまでに、マウス頭蓋骨、上顎骨、下顎骨、大腿骨切片を作製し、IGFBP-3の発現について組織学的解析を行い、骨組織中におけるIGFBP-3の発現について確認した。また、マウス頭蓋冠由来前骨芽細胞様細胞MC3T3-E細胞およびマウス大腿骨由来間葉系間質細胞を用いて、骨芽細胞におけるIGFBP-3の発現の有無および継時的変化について解析を行った。さらに、IGFBP-3が骨芽細胞分化に及ぼす影響について、遺伝子発現解析、ALP活性解析、石灰化解析を行った。その結果、IGFBP-3が骨芽細胞の分化および成熟に対して抑制的な作用を及ぼすことが明らかとなった。また、その際、IGFBP-3はBMP-2シグナルを抑制することで骨芽細胞の分化および成熟を抑制する可能性が示唆された。 これらの結果は専門論文として既に公表に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破骨細胞におけるIGFBP-3の作用に関する解析についてはまだ十分に行えていない状況ではあるが、骨芽細胞におけるIGFBP-3の作用については当初の予定通りに解析が進んだこと、また、これまでの結果を専門論文として公表することができたことから、進捗状況はおおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度までの研究成果により、IGFBP-3が骨芽細胞分化に及ぼす影響を明らかにし、作用機序について検証を開始することができたことから、平成31年度は作用機序を解明していきたいと考えている。また、破骨細胞の培養条件について検討を行い、破骨細胞に対するIGFBP-3の作用についての解析を進める。さらに、動物実験モデルを用いて、IGFBP-3 による骨代謝への影響を解析していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物モデルを用いてのIGFBP-3が骨代謝に及ぼす影響についての検討がやや遅れていることにより、動物実験で使用する予定であった試薬や器具の購入および動物実験施設の使用が当初の予定よりも少なかったことから、その分の差額が生じた。 差額については、当初の研究計画遂行の為、動物実験で使用する試薬や器具の購入費および動物実験施設の使用料に充てる。 また、基本的な研究計画は変更しない為、次年度使用額については、IGFBP-3リコンビナントプロテイン、実験動物、動物実験用器具、組織学的解析関連試薬、消耗品等の購入と動物実験施設の使用料等に使用する予定である。
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