研究課題
本研究は、結合組織に相当する足場材の上皮界面に凹凸形状の乳頭様構造を付与し、機械的強度が高く生体組織に近い応答が得られるin vitroモデル〔培養口腔粘膜(3D oral mucosa model,3DOMM)〕を開発した上で、継代数の違う細胞を足場材に播種して培養口腔粘膜モデルを作成し、若い細胞とそうでない細胞で若年者と高齢者の3DOMMに見立てて、その組織学的特徴を始め、老化や床下粘膜モデルとして発展利用しようと実験を計画した。本実験では、半導体技術を用いてDEJ(上皮―結合組織接合)を生体模倣した幾つかのマイクロパターン化した足場材を作成し、3DOMMの作成を試みた。作製したマイクロパターンの形状は、格子状、柱状の2種類に、マイクロパターンの断面形状として矩形、波形も設定し、計4種類とした。陰性モデル(鋳型)に1%魚うろこコラーゲン溶液を填入し足場材を作成し、申請者が以前に用いたプロトコールで口腔ケラチノサイトを播種することにより、3DOMMは完成する。組織学的検討により、平坦なコラーゲンゲル上に形成された上皮よりも、マイクロパターン化したコラーゲン足場材を使用した3DOMMでは、厚い上皮が形成されていることを確認し、また、上皮の特徴をより詳細に検討するために免疫染色を行ったところ、Integrin α6、Integrin β1、Ki-67、p63、Involucrinがそれぞれ特徴的に上皮細胞層特異的に染色され、正常な分化が起こっていることも証明できた。当初の予定通り口腔粘膜にとってのマイクロパターンの至適サイズを探索するため、いくつかのサイズを作成し組織学的観察と、継代数の異なる細胞を播種することで老化モデルの作成を併行して実施した。
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