研究課題/領域番号 |
17K17165
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高岡 亮太 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20733968)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 顎関節症 / 縦断研究 / 変形性顎関節症 / 顎関節内障 / subchondral cyst |
研究実績の概要 |
subchondral cystは変形性顎関節症の一つに含まれ,画像検査において診断すべき異常所見である.しかし,subchondral cystに関する報告は十分ではなく,その原因および病態は未だ明らかになっていない.そこで本年度は下顎頭のSubchondral cystの経時的変化を調査するための縦断研究を実施した.まず予備調査としてSubchondral cystが下顎頭に認められる患者43名の初診時のMRデータの読影および解析を行った.MR所見において,subchondral cystの大きさ,矢状面および冠状面におけるSubchondral cystの位置,下顎頭皮質骨外側からsubchondral cystまでの距離,関節円板の位置異常について調査したところ,Subchondral cystは負荷が加わりやすい下顎頭の前方および上方に位置する傾向があり,また,下顎頭皮質骨辺縁に近接して存在しているものが多いことが判明した.さらに,Subchondral cystを有する顎関節のほとんどの関節円板に位置異常が認められたことなどから,下顎頭に加わる力学的負荷により引き起こされる骨のリモデリングによってSubchondral cystが生じる可能性が示唆された. さらに,患者43名のうち縦断研究への協力に同意された27名のMR検査を実施した.2回目のMR検査は初診時より少なくとも3年が経過していた.初診時と比較して,Subchondral cystが消失しているもの,拡大しているもの,縮小しているもの,別の場所に新たなcystが形成されているもの等様々な様相を示した.下顎頭の形態はほとんど変化が認められないものや,大きく骨が吸収・添加しているケースが認められた.現在詳しい解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初診時にsubchondral cystを有していた26名の被験者のMR検査を予定どおり実施した.現在MRデータを読影している段階であるが,今後順調に統計解析が進んでいくことが予想される. 2019年度に実施予定の関節円板側方転位に縦断的調査についても,すでに被験者の抽出は完了しており,研究依頼を開始する準備は整っている.放射線科との連携も十分に図れており,意見交換を行う会議を不定期に開催している.
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今後の研究の推進方策 |
初診時に得られたsubchondral cystのMRデータと2018年度に得られたMRデータを比較し,subchondral cystの変化に影響を与える因子について探索する.また,下顎頭の骨変化については3次元レベルでの解析を進める予定である.さらに,先行研究より獲得した関節円板側方転位を有する被験者に対し,調査への参加を依頼し,参加に同意された患者のMRを撮像することにより,関節円板側方転位の経時的変化を評価する.質問票や臨床検査により得られた情報とMRデータを合わせて解析を行い,変化に影響を与える因子について明らかにする. 日本補綴歯科学会,日本顎関節学会やInternational College of Prosthodontistsなどで研究成果を発表し,今後の方向性を検討する必要があると考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度にMRデータの3次元データ解析ソフトの購入を予定しており,そのための予算として次年度に繰り越している.
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