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2019 年度 実施状況報告書

顎関節障害の病態進展メカニズムの解明に向けた大規模MRIデータの縦断的解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K17165
研究機関大阪大学

研究代表者

高岡 亮太  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20733968)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードsubchondral cyst / 顎関節円板側方転位
研究実績の概要

Subchondral cyst(以下SC)の存在は変形性顎関節症の国際的な画像診断基準の一つとして重要視されているにもかかわらず,これまで顎関節部のSCに関する横断研究は皆無に近く,ましてSCに関する縦断研究は存在しないのが現状である.そこで本年度は下顎頭のSCを横断的および縦断的に調査した結果得られたデータを解析することにより,新しい知見が得られたため以下に報告する.
SCの横断的調査により,SCは下顎頭の力学的負荷の加わりやすい部位の近傍に形成される可能性が示唆された.また,SCは関節円板の位置異常,特に非復位性顎関節円板転位との関連が強いことが明らかとなった.さらに,SCは下顎頭退行性骨変化の中でも,晩期に発生する可能性が示唆された.SCの縦断的調査により, SCの3分の2は下顎頭および関節隆起の骨吸収を伴いながら時間経過とともに消失することが分かった.SCを有する患者の臨床症状はSCの運命に関わりなく保存療法により十分に改善することも明らかとなった.
また,顎関節円板側方転位は変形性顎関節症の発症の原因の一つである可能性があるにもかかわらず,未だその病態は明らかにされていない.本年度は円板側方転位を有する患者の顎関節MRIを4年以上最大で9年間隔を空けて縦断的に撮像し,円板側方転位の経時的変化を観察した.研究開始当初は円板側方転位から円板前方転位に移行するとの仮説を立てていたが,縦断調査の結果,側方転位の程度が変化した症例は存在していたが,円板側方転位から円板前方転位に移行した症例は存在せず,仮説を証明することができなかった.したがって,円板側方転位は円板前方転位とは異なるメカニズムで発症し,独自の経過を辿る可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた研究計画は問題なく遂行しており、下顎頭にSubchondral cystを有する患者および顎関節側方転位を有する患者の2回目のMRI撮像および臨床検査は実施済みである.
現在,関節円板の3次元的な位置異常の重症度分類に関する英語論文および変形性顎関節症に認められる下顎頭のSubchondral cystの横断的ならびに縦断的観察に関する英語論文の2論分を投稿中である。 また、顎関節円板側方転位の経時的変化および病態の解明に関する研究についての英語論文は執筆中である.以上の3論文については来年度も引き続きを校正を行い、2020年度中に投稿予定である。

今後の研究の推進方策

Subchondral cystに対する保存療法の治療成績については第33回日本顎関節学会学術大会において報告を行う.
現在学術雑誌へ投稿中の2論文に関しては,reviewerらによる査読の結果に応じて随時校正を進めていく.論文がrejectされた場合は別の学術雑誌に投稿する.
顎関節円板側方転位の経時的変化および病態の解明に関しての英語論文については現在執筆中であり,必要であれば統計解析を追加したうえで完成させる予定である.その後共著者に修正を依頼し,その後英文校正を依頼したうえで投稿の準備を進めていく.

次年度使用額が生じた理由

当初計画していた研究計画は問題なく遂行しており、得られたデータをまとめた論文を現在2論分投稿中である。 また、顎関節円板側方転位の経時的変化および病態の解明のために、現在1論文を執筆中であり、これについては本年度も引き続き執筆を行い、本年度中に投稿予定である。
したがって,研究成果を学術雑誌に投稿する際の英文校正費および論文投稿費に本年度の予算を当てる計画を立てている.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Elucidation of pathophysiology with a longitudinal study of subchondral cyst utilizing MR images in TMD patients.2019

    • 著者名/発表者名
      Koishi Y,Takaoka R,Moriguchi D, Lin X, Kuyama K, Kayashima H, Shimamoto H,Nakatani A, Uchiyama Y, Ishigaki S, Yatani H
    • 学会等名
      18th International College of Prosthodontics
    • 国際学会
  • [学会発表] MRIを用いた顎関節内障の三次元的評価 第一報:関節円板転移の三次元的分類.2019

    • 著者名/発表者名
      高岡亮太, 仙崎勇輝,林暁雨,小石由紀子,森口大輔,鈴木英史,奥田眞夫,石垣尚一,矢谷博文.
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会 第128回学術大会
  • [学会発表] MRIを用いた顎関節内障の三次元的評価 第二報:joint effusion像.2019

    • 著者名/発表者名
      仙崎勇輝,高岡亮太,林暁雨,小石由紀子,森口大輔,鈴木英史,奥田眞夫,石垣尚一,矢谷博文.
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会 第128回学術大会
  • [学会発表] MRIを用いた顎関節症患者における subchondral cystの横断研究.2019

    • 著者名/発表者名
      小石由紀子,高岡亮太, 林暁雨,久山晃太郎,仙崎勇輝,玉利秀樹,桑原俊也,島本博彰,中谷温紀,内山百夏,石垣尚一,矢谷博文.
    • 学会等名
      第32回日本顎関節学会学術大会
  • [学会発表] Clinical Evaluation of Dynamic Quantitative Sensory Testing for the Assessment of Central Sensitization.2019

    • 著者名/発表者名
      Moriguchi D, Ishigaki S, Yatani H, Lin X, Kuyama K, Koishi Y, Takaoka R
    • 学会等名
      19th Asian Academy of Orofacial Pain and Temporomandibular Disorders (AAOT) Scientific Meeting on "NON-ODONTOGENIC OROFACIAL PAIN"
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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