研究課題/領域番号 |
17K17170
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三木 春奈 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60739902)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯学 / 顎関節症 |
研究実績の概要 |
被験者集積ならびに臨床診査,質問票および顎関節MRI撮像を行い,顎関節症についての追跡調査を行った。対象は,岡山大学病院クラウンブリッジ補綴科(旧 第一補綴科)を2003年1月4日から2008年12月28日の間に,顎関節症状を主訴に初診受診した患者のうち,初診時に顎関節MRI撮像を行い,顎関節症Ⅲ型と診断された全患者とした。これら全員に文書による本研究の趣旨を郵送し,同意が得られた者に臨床診査,質問票調査,MRI撮像を行った。MRI撮像条件は,開閉口位でプロトン密度強調画像,閉口位でT2強調画像とした。臨床診査は日本補綴歯科学会ならびに日本顎関節学会の専門医3名のうちいずれかが行った。診査項目は,開口量,咀嚼筋圧痛の有無・部位,関節雑音の有無・種類,随伴症状,口腔悪習癖の有無,顎関節部の主観的疼痛レベル(VAS)とした。初診時の臨床診査項目は,診療録より抽出した。MRI評価は,前述の専門医3名が,患者の症状,来院時期,それぞれの評価結果に関する情報を盲検化した状態で独立して行った。評価項目は,関節円板動態,円板前方転位の程度,関節円板変形の有無,下顎頭の位置,下顎頭骨変形の有無,顎関節包内の浸出液の貯留(Joint effusion)の有無および偽円板形成の有無とした。 まず評価者間のキャリブレーションを行った。MRI画像は評価者に含まれていない研究代表者によって選択された20関節を用いた。まず最初に,3名の評価者がこれら20関節を別々に診断した。盲検化を確実にするために,これらの症例は番号のみで識別され,ランダムに並べられて評価した。その後,評価者間で評価が異なる画像については協議をして相互同意を得た。その後,再度20関節を同様の手順で診断した。キャリブレーション前後の評価者間の一致度をカッパ係数により算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は被験者集積と追跡調査の実施予定であったが,研究を進めるにあたりを評価者間のキャリブレーションを行う必要があった。そのため先行研究にて評価者間の一致度を検討した。現在は被験者の集積を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
被験者集積を引き続き行う。研究の同意が得られた者には臨床診査,質問票調査,MRI撮像を行う。初診時データと10年追跡時データの比較を行うことにより,偽関節円板像の発現頻度や下顎頭骨変形の発症率,関節円板転位の進行率,臨床症状の悪化率の算出することで病態変化を把握する。偽関節円板形成に関連する因子について検討し,さらに顎関節症の病態変化に関連する生物学的要因の同定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価者間のキャリブレーションを先行したために、被験者集積が遅れている。平成30年度は引き続き被験者集積と追跡調査を行う予定である。追跡調査にはMRI撮像費用等が必要となる。さらに,本研究を実施するための情報収集や研究成果発表のために国内外の関連学会への学会参加を予定しているため,旅費が必要となる。
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