研究成果の概要 |
老化は組織や細胞に著しい影響を及ぼすが, 加齢が唾液腺機能に与える影響には未だ不明な点が多い. そこで本研究は, 老化促進モデルマウスであるSenescence-accelerated mouse prone 1 (SAMP1) を用いて,加齢が顎下腺 (SMG) および耳下腺 (PG) 機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. その結果, 老化はPGとSMGへ異なる影響を与えること, SMGにおいてのみ細胞老化とそれに伴う慢性炎症が生じ, さらに水チャネルの発現量が低下することにより, 唾液分泌量が減少することが示唆された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
口腔乾燥症はカリエスリスクの上昇,歯周病の増悪,嚥下障害や構音障害,義歯の装着困難など口腔環境に影響を及ぼし補綴歯科治療のリスク因子となる.義歯やクラウン,ブリッジ,インプラントなどが適切に機能していても口腔乾燥症の発症によりその機能は大きく失われる.既に超高齢社会の到来している本邦において, 加齢による口腔乾燥症は超高齢社会において今後さらに患者数が増加するにもかかわらずその原因は不明であった. 本研究で得られた結果は, そのメカニズム解明にとって重要なブレークスルーとなり, 今後の治療方法開発に寄与するものと考えられる.
|