本研究では、①効果的な5-HT2A高発現iPS細胞分化誘導法の確立、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析を礎とし、セロトニン受容体関連疾患治療薬を探索することを目的とする。 初年度研究は①効果的な5-HT2A高発現iPS細胞分化誘導法の確立にあたり、(a)ブラキシズムおよび対象患者のiPS細胞の樹立、(b)iPS細胞のセロトニン分化誘導法の検討、(c)効率的な5-HT2A 高発現細胞の選択的培養法の検討を実施した。(a)睡眠時ブラキシズムの遺伝子的疾患特異モデルを確立するため、5-HT2A 遺伝子上のRs6313変異が認められたブラキシズム群および変異を認めない対照群の血液細胞よりiPS細胞を樹立した。(b)樹立したiPS細胞の、安定したセロトニン関連遺伝子発現神経細胞への分化誘導方法について検討し、脳内におけるセロトニン発現量の多い部位特異的に誘導することで、セロトニン神経発現神経細胞へと分化誘導可能となった。 次年度研究は(c)5-HT2A 高発現細胞を利用するため、生細胞での5-HT2A 発現レベルをモニタリングする方法が必要であり、標的遺伝子である5-HT2Aのプロモーター領域を改変したレンチウイルスベクターを作製し、セロトニン分化を可視化することにより、5-HT2A 遺伝子を高発現しているコロニーを選択的に培養する方法を検討し、5-HT2A遺伝子のプロモーター領域を挿入したVenus標識ウイルスベクターを作製した。 本年度研究より、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析にあたり、当該iPS細胞より神経細胞へ分化した細胞へ製作したプロモーターベクターを導入し、生細胞における5-HT2A発現細胞の検出が可能となり、(ⅱ)電気生理的解析を実施し、一定の研究成果を得た。
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