研究課題
初年度において、顎間関係を運動生理学的に決定する方法を開発することを目的とした研究を行った。安静時空隙利用法(Niswonger)を利用して咬合高径を決定した上下全部床義歯を製作し、良好な経過を得ている無歯顎者9名を選択した.被験者の咬合高径を変化させるための口腔内装置を作製した。被験者には、様々な顎間関係条件において、画面上に映し出されるターゲットフォースを狙って、自身の咬合力を調節するよう指示した。ターゲットフォースと、発揮された咬合力とのずれを正確度(Accuracy)とし、発揮された咬合力の安定性を精度(Precision)とし、両パラメータと顎間距離との関係を評価した。その結果、適正な咬合高径の条件では、咬合高径を変化させた条件と比較して、有意に高い正確度と精度が認められた。以上の結果から、この関係を利用すれば、咬合高径を機能的に決定することが可能であると考えられる。次年度には、カロリンスカ研究所(スウェーデン)のProf.Trulssonらの研究グループの実験プロトコルに参画し、適切な咬合高径においては、試験食品の破砕を最も効率よく行うことができることが分かった。また、その制御機構は、閉口筋筋紡錘に振動刺激を与えてIa線維を活性化することにより、かく乱される現象を得た。さらに、これは閉口筋以外の筋紡錘を刺激した際には同様の結果は得られなかった。これらの結果より、咬合力の制御機構には筋紡錘の機能が関与していることが示唆された。以上、2年間の研究期間において、1編の国際誌の掲載を得た。
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Journal of Prosthodontic Research
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10.1016/j.jpor.2018.10.011