研究課題/領域番号 |
17K17202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松舘 芳樹 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40755170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 部分床義歯 / 歯科用インプラント / 生体内測定 / 荷重測定 |
研究実績の概要 |
インプラント支持型可撤性部分床義歯(ISRPD: implant-supported removable partial denture)では義歯とインプラントを繋ぐアタッチメントの破損,義歯の破折などの機械的な合併症や,インプラント周囲の骨吸収等の生物学的合併症が報告されている.これら合併症の主因として力学的要因が考えられるが,ISRPDの支持要素は,歯,インプラント,顎堤粘膜と被圧変位量が各組織でそれぞれ異なり,機能時の各支持要素への荷重分散や義歯の挙動に関しては解明されていない.本研究は,ISRPDの各支持要素に加わる荷重を生体内にて測定することで,支台インプラントの位置および各種アタッチメントが各支持要素への荷重分散に及ぼす影響を解析する. 今年度は,ISRPD装着患者の口腔内にて荷重測定を行うため,各種アタッチメント(マグネット、ボール、ロケーター、ヒーリングアバットメント)と3次元小型水晶圧電式センサ,また直接支台歯と3次元小型水晶圧電式センサを適合させるための装置を設計し、精密加工により各種製作を行い、模型実験により検証を行った。片側臼歯部欠損下顎模型(Nissin社製)にて,欠損顎堤部に人工粘膜を設置し,支台インプラントを埋入し実験用模型とした.埋入位置は欠損臼歯部(4-7)内の2カ所とし(近心部(4),遠心部(7)),2種類の模型を用意した.実験用ISRPDは2種類の模型に対し,それぞれ3個ずつ製作した.実験条件として,実験用ISRPD6番相当部に静的荷重を付与した. 支台歯・インプラントに加わる3次元荷重,および義歯床下粘膜に加わる荷重測定を行った.このことより,各種アタッチメント,また支台インプラント位置が異なることで荷重時の各支持要素に加わる力学的な挙動が異なることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は実験用アタッチメント,ならびに模型実験用の装置を製作し荷重測定を行った.生体内測定に関しては,本実験に適合した被験者のリクルートが困難な状況であり,今後の進捗に影響を与える可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた測定結果を解析する.また,生体内測定を行うために本研究の目的に合致する被験者の増加を図り,被験者のISRPDの支台インプラント位置により2群(近心支台・遠心支台)に分け,アタッチメントを変化させ,機能時に各支持要素に加わる荷重を測定する.さらに支台インプラント位置やアタッチメントと口腔機能(咬合力,咀嚼能率,主機能部位)との関連を調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,本研究に適した症例となる生体内測定を行うための被験者数の確保が予定より進捗していないこと,またそれに伴い生体内測定実験に用いる物品の購入数が予定より少なかったことが挙げられる.
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