研究課題
幹細胞培養上清(CM)としてヒト骨髄由来間葉系幹細胞培養上清(BMMSC-CM)およびヒト歯髄幹細胞培養上清(DPSC-CM)の2種類を用意した。37℃・5%CO2で培養後、80%コンフルエントの状態で培地を無血清DMEMに交換した。48時間後培養上清を回収し、死細胞等を除去するため遠心分離して0.22 μmのフィルターを通して使用した。これら2種のCMをサイトカインアッセイにより網羅的解析を行った。次に、ヒト末梢血単球細胞をヒトT細胞増殖因子であるphytohemagglutinin (PHA)での刺激条件の下、1週間培養した。その後、2日間無血清DMEM、BMMSC-CMおよびDPSC-CM存在下でそれぞれ培養し、活性化T細胞の割合を見るために、フローサイトメトリーにてCD3+CD25+CD69+活性化T細胞の割合を算出した。サイトカインアッセイから、DPSC-CMはBMMSC-CMと比較すると、抗炎症作用のあるIL-10とIL-13が多く含まれていることがわかった。また、細胞増殖能、血管新生能を有するHepatocyte growth factorはDPSC-CMのみに分泌されていることがわかった。フローサイトメトリーにおいて、PHAで刺激したT細胞がDPSC-CMを加えることで、その割合が著明に低下することがわかった。以上のことから、DPSC-CMには、BMSC-CMより免疫抑制、細胞増殖および血管新生に働く液性因子が多く含まれ、T細胞の活性化を抑える働きを持つことがわかった。今後は、in vivoにて唾液腺障害モデルマウスにDPSC-CMを投与(静注または局注)し、唾液腺の病理組織像や唾液量の変化などを評価して、DPSC-CMによる新規治療法の開発に繋げたい。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 30 (5) ページ: 445-451
10.1016/j.ajoms.2018.04.002
https://kyushu-u.pure.elsevier.com/en/publications/secretomes-of-mesenchymal-stem-cells-induce-early-bone-regenerati