研究課題/領域番号 |
17K17211
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野村 俊介 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60710994)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炭酸アパタイト / 溶解析出反応 / 炭酸含有量 / 石膏 / 硫酸カルシウム |
研究実績の概要 |
申請者らは骨の無機組成が炭酸アパタイトであることに着目し、前駆体を用いた溶解析出反応による炭酸アパタイトの調製法を確立した。炭酸アパタイトが破骨細胞に吸収され、骨リモデリングに調和して骨に置換される原因はアパタイトに炭酸基が存在し、破骨細胞が形成する弱酸性環境において溶解度が高いためであると考えられるが、炭酸アパタイト中の炭酸基含有量が、炭酸アパタイトの破骨細胞性吸収に及ぼす影響は検討されていない。本研究は、炭酸アパタイトブロック中の炭酸基含有量を制御し、炭酸基組成が炭酸アパタイトの骨置換速度に及ぼす影響を解析するとともに、骨置換速度を飛躍的に加速した炭酸アパタイト骨置換材を創製することである。 前年度は炭酸基含有量が異なる炭酸アパタイトを調製することが可能であるか検討を行った。当該年度は試料の追加解析および炭酸アパタイト中の炭酸基含有量が細胞実験において骨芽細胞のup-regulationに及ぼす影響の検討を行った。追加解析の結果、炭酸アパタイト中の炭酸基含有量と硫酸基含有量が反比例の関係にあり、また炭酸基含有量の増加とともに機械的強度が低下することが判明した。また細胞実験では近交系ラットの大腿骨から骨髄細胞の細胞懸濁液を調製し、骨芽細胞様細胞に分化させ、炭酸アパタイトディスク表面に骨芽細胞懸濁液を播種し、培地中で一定期間培養した。結果として、材料表面に播種された骨芽細胞のmRNA発現レベルは水酸アパタイトと比較して骨芽細胞の分化マーカーであるI型コラーゲンおよびオステオポンチンはup-regulationしているものの、炭酸含有量の差で優位差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、石膏(硫酸カルシウム)を前駆体として溶解析出型組成変換反応で炭酸アパタイトブロックを調製する系において、炭酸アパタイト中の炭酸基含有量が、1)破骨細胞性吸収に及ぼす影響、2)骨芽細胞のup-regulationに及ぼす影響、3)炭酸アパタイト人工骨置換材の骨置換速度に及ぼす影響を検討することを目的とする。 当該年度は作製した試料の追加解析および細胞実験での評価を重点的に調査したため、予定していた動物実験を次年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は細胞実験を継続するとともに作製した試料を動物実験に埋入し、病理組織標本での検討を行う。動物実験ではラット頭蓋骨に骨欠損を作成し、調製した骨補填材で再建を行う。組織標本は一般組織染色(H&E染色)を行い、補填材の吸収程度、新生骨のリモデリングを評価する。また補填材の吸収が見られた場合、破骨細胞性によるものかを判断するために、TRAP染色を行い破骨細胞が生じているかを確認する。また、骨の形成速度はテトラサイクリン、カルセイン、キシレノールオレンジなどの骨ラベリング法により検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成30年度においては細胞実験および動物実験を行う予定であったが、細胞実験の手技および条件の確立に時間を要したため、動物実験の開始が遅れた。そのため、動物実験に使用する予定である費用を次年度に使用する必要性が生じた。 (使用計画) 次年度は細胞実験の継続および動物実験を行う予定である。細胞実験では引き続き近交系ラットの大腿骨から骨髄細胞の細胞懸濁液を、また破骨細胞前駆細胞を使用する予定であり、また動物実験ではラット頭蓋骨への骨補填材埋入を予定しているため、細胞株、実験動物用費用および組織標本作製のための費用がかかることが予想される。
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