研究課題/領域番号 |
17K17217
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
平野 友基 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10755044)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ジルコニアインプラント / オッセオインテグレーション / 超親水性 |
研究実績の概要 |
現在のインプラント治療はチタンのみに依存しており、審美的問題やアレルギーの問題に対応していない。メタルフリー・インプラントへの志向が高まるなか、ジルコニアインプラントは重要な選択肢の一つであり、その開発は喫緊の課題である。申請者は、これまでにマイクロ構造とナノ構造を合わせ持ったジルコニアの表面形状が細胞環境に有利にはたらくことを明らかにしてきた。また、これまで細胞接着を促進する表面処理法の一つに超親水性処理法が提案されている。本研究では、インプラント表面にこれまでの研究成果があった表面形状に加え、(1)紫外線処理、(2)低温プラズマ処理、(3)生理食塩水中保存による超親水性処理がジルコニアインプラントに与える影響を精査し、基礎的研究から有効なジルコニアインプラントを開発するための一助とすることを目的とした。 今年度はラット大臼歯部へのジルコニアインプラントの埋入手技が困難なため、大腿骨中央部への埋入に変更し手技の確立に注力した。インプラント体の形状も埋入および評価を行いやすくするため直径1mm、長径2mmのシリンダータイプのものに変更した。埋入2週後、4週後のμCTおよびH-E染色した研磨標本での評価ではジルコニアインプラント体と骨との間に密接な結合を確認できた。また、圧縮試験機によるpush in testにおいても除去トルク値を確認できた。今後は、それぞれの超親水性処理間での除去トルク値および骨接触率を評価、比較していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度となる平成29年度は、まず予備実験としてラットの第一大臼歯部に作製したジルコニアインプラント体の埋入を行った。しかしながら、視野が狭くまた埋入手技が困難なためラットの死亡率が高く、煩雑なインプラント体の埋入となってしまった。他部位へのインプラント体埋入と評価を検討した結果、大腿骨中央部へのインプラント体埋入がベストと考えプロトコルの変更を行った。このプロトコル変更が進捗の遅延の主な原因となった。また、外科手技や評価をシンプルに行うためにインプラント体の形状を直径1mm、長径2mmのシリンダータイプのデザインに刷新したことも研究の進捗状況に遅れを生じた原因となった。
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今後の研究の推進方策 |
ラット大腿骨に埋入した超親水性処理を施したジルコニアインプラントのin vivoでの評価を優先して行っていく。定量的評価は、①インプラント骨接触率(BIC)、②インプラント除去トルク値を評価していく。また、形態学的評価はトルイジンブルーを用いてインプラントと接触している骨を観察していく予定である。並行して接触角やXPSなどの材料学的評価も行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度はプロトコルの変更があったため当初予定していた金額と異なったものとなった。次年度は標本作成を業者に委託する予定であり、その費用として計上を予定している。
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