研究実績の概要 |
DNA/プロタミンレイヤー固定化チタンインプラントの骨適合性に関する明確なエビデンスを確立できれば,インプラントの適応範囲の拡大,早期荷重が可能になるなど患者にとって有益なインプラント治療を提供することができるとともに多くの国民のQOL 向上に寄与することができることが期待される. 本研究では,DNA/プロタミンレイヤー固定化チタンインプラントの臨床応用を目指し,立体構造の異なるDNAコーティングチタンインプラントの骨形成,コート前の前処置による影響を中心に検討した. DNA-d(2本鎖DNA)/プロタミンおよびDNA-s(1本鎖DNA)/プロタミンレイヤー固定化が骨形成に与える有効性が明らかとなった. しかしながら, DNAの立体構造による差は認められず, DNAのリン酸基が骨形成に関与している可能性が示唆された.今後は, DNA/プロタミンレイヤーとタンパク質との相互作用などを詳細に検討する必要がある. コート前の前処置による影響の結果から固定化されたDNA/プロタミンレイヤーの吸収性は,レイヤー固定化に対する被着面が,滑面,サンドブラスト処理された面, UV処理された面に関して,大きな違いが無いことが推察された.しかし,検討が不十分である可能性が高く,今後より多角的な検討が必要である.また,骨形成に関しては,コートしたDNA/プロタミンが吸収した後にこそ,被着面の影響が出る可能性が高く,今後in vivoの検討が求められる.
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