平成30年度についても、前年度と同様にARONJ発症患者の外科的治療時におけるPRF填入の実施と評価およびPRF填入によるARONJ発症予防効果に関する検討を予定していた。院内での設備準備が完了し、再生医療法の施行に伴う北海道大学病院再生医療等委員会事務局での承認登録を進めた。本院での事務局の予備審査が進んだ時点で北海道厚生局へ申請に関しての相談を実施したところ、通常の治療に本研究を追加することは、混合診療に該当するため承認できないとの判断を受け、現状としてPRFの使用許可が得られていないため、これらの研究の実施が現在困難な状態である。 このため、承認許可が得られるまで、コントロール群となるPRF填入を実施しない従来通りのARONJ患者に対する外科消炎術を実施した症例を蓄積することに努めた。平成30年度ではさらに5例程度の症例蓄積があり、これまでの合計で55例程度の外科消炎術の実績がある。このうち、外科消炎術を実施するも完全治癒に至っておらず、再度骨露出や感染に至った症例も複数あることから、今後はPRF使用承認が得られ次第、早急に対象症例を確保し、比較検討を開始予定である。 また、同様の理由によりARONJ発症予防効果に関する検討に関してもPRF填入の評価を実施できなかった。ただし、コントロール群の蓄積と解析は可能であった。新たに50例程度のコントロール群を追加することができ、およそ250例のコントロール群を得た。コントロール群では、9例のARONJ発症と42例の1ヶ月以内に抜歯窩の上皮化を認めなかった治癒遅延が認められた。これまでの研究において、PRFを抜歯時填入した29例では治癒遅延とARONJ発症を一切認めなかったことより、今後さらにPRF填入症例の蓄積を行い、コントロール群との比較をすすめる。
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