研究課題/領域番号 |
17K17233
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古舘 健 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50638898)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん微小環境 / 癌関連線維芽細胞 / mTORシグナル / 血管新生因子 |
研究実績の概要 |
本研究では、口腔癌細胞と線維芽細胞の両者が存在するがん微小環境において、癌関連線維芽細胞(Cancer-Associated Fibroblasts:CAF)の栄養状態を反映するmTOR(mammalian target of rapamycin)シグナルが血管新生因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)を制御する機構を明らかにすることを目的にしている。がん微小環境におけるCAFのmTORシグナルに着目し、VEGFの制御機構を解明する。がん微小環境の正常化の可能性を探求することで、間質細胞がターゲットの新しいがん治療法の開発が期待される。本研究では、口腔癌細胞と線維芽細胞の両者が存在するがん微小環境において、まだ明らかにされていない癌関連線維芽細胞(以下、CAF)のmTORシグナルが血管新生因子(以下、VEGF)を制御する機構を明らかにする。mTORシグナルの遺伝子を探索する。29年度は以下の2項目を中心に検討した。1.ヒト口腔癌症例におけるCAFのVEGFと癌の悪性度との相関関係を調べる。2.ヒト口腔癌細胞とCAF のmTORシグナルを介したVEGF分泌に関連する遺伝子を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度は以下の2項目を中心に検討した。 1.ヒト口腔癌症例における癌関連線維芽細胞(以下、CAF)のVEGFと癌の悪性度との相関関係を調べる。 2.ヒト口腔癌細胞とCAF のmTORシグナルを介したVEGF分泌に関連する遺伝子を明らかにする。 ヒト口腔癌症例における癌関連線維芽細胞(以下、CAF)の血管新生因子(以下、VEGF)と癌の悪性度との相関関係を調べるために免疫組織化学的解析を行い,100症例のヒト口腔癌生検標本を用い、免疫染色(Vegf、HIF-1α、αSMA、Vimentin)を行う。CAFをin vivo で解析することで、口腔癌におけるCAFと癌の悪性度との臨床病理学的な相関関係を明らかにする予定であったが、免疫組織化学的解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト口腔癌細胞とCAF のmTORシグナルを介したEGF増加に関連する遺伝子群を網羅的に解析していく。ヒト歯肉癌細胞株(Ca9-22)とヒト線維芽細胞株を共培養することで、線維芽細胞をCAFに変化させ、4時間おきのタイムコースでサンプリングする。共培養は、半透膜で細胞間の物質伝達が可能なウェルを用いた三次元培養(間接法)で行う。 解析は、細胞内の遺伝子発現量を測定するDNAマイクロアレイを行う(Vegf、HIF-1α、αSMA、Vimentin、mTOR、Rheb、TSC2、Akt、Erk、REDD、AMPK)。共培養において、mTORシグナルに関連した遺伝子(mTOR、Rheb、TSC2、Akt、Erk、REDD、AMPK、HIF-1α、Vegf)のRNA干渉(ノックダウン)による、増殖能・浸潤能への影響を調べる。遺伝子ノックダウンによる増殖能はMTT-アッセイで、浸潤能はマトリゲル インベージョンアッセイ解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度は以下の2項目を中心に検討した.1.ヒト口腔癌症例におけるCAFのVEGFと癌の悪性度との相関関係を調べる。2.ヒト口腔癌細胞とCAF のmTORシグナルを介したVEGF分泌に関連する遺伝子を明らかにする。免疫染色の抗体(Vegf、HIF-1α、αSMA、Vimentin)は、すでに入手しており、直ちに実験が可能であった。また細胞内の遺伝子発現量を測定するDNAマイクロアレイを行う(Vegf、HIF-1α、αSMA、Vimentin、mTOR、Rheb、TSC2、Akt、Erk、REDD、AMPK)はすでに入手していた。
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