研究課題/領域番号 |
17K17235
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 学 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40613998)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 口腔がん化学療法 |
研究実績の概要 |
今年度は前年度に明らかにしたp53シグナル伝達系標的薬剤の口腔がんに対するアポトーシス誘導作用に加えて、そのメカニズムについて解析を進めた。 口腔癌細胞株(Ca9-22)において、 p53 の機能抑制に関わっている MDM2 に対する阻害剤(RITA )、p53 再活性分子薬剤(CP-31398、PRIMA-1)の処理を行いタンパク質を抽出しウェスタンブロット法にてp53シグナルの分子解析を行った。その結果、RITAにおいてはp53のリン酸化(活性化)およびcaspase-3の活性化が認められRITAが誘導するアポトーシスにはp53の活性化が関与し、カスパーぜ依存的であることが示唆された。さらに、RITAのp53活性化機序としてはMDM2の阻害が予想されたが、RITAはMDM2には影響を与えず、ATM, ATRを活性化することが示唆され、それによってp53の活性化が図られアポトーシス を誘導していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H30年度の計画として挙げた3つの項目① MDM2に対する阻害剤(RITA ), p53再活性分子薬剤(CP-31398, PRIMA-1)の低酸素環境下でのアポトーシス誘導機構の解明 ②口腔癌における血管新生を中心にした低酸素応答分子機構の解明研究 ③ 低酸素応答性転写因子HIF-1α遺伝子導入細胞の作製・解析 のうち2項は達成しており概ね計画に沿って進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、口腔癌細胞に対するp53シグナル伝達系標的薬剤(CP-31398, PRIMA-1, RITA) の癌血管新生抑制効果の解析(血管新生因子であるVEGF、bFGF、MMPs,angiopoietin-2、Tie-2 などの遺伝子やタンパクレベルでの発現について、免疫染色、real-time PCR、ウエスタン・ブロット法などの手法を用いて、主にどのような変化が現れているのかを解析する)を行い、抗腫瘍効果のみならず癌転移抑制効果についても検討を行う。さらに既知の抗癌剤(CDDP、5-FU、タキソテール)との比較、併用効果の解析を行い、従来、化学療法では対応できなかった口腔癌の抗癌剤耐性の克服や血管新生・転移の抑制の基礎的知見を確立する。さらに、腫瘍転位モデルマウスを確立し、in vitroのプロトコールを参考にして抗癌剤の治療効果が観察されたマウス腫瘍組織を採取し、上記の分子を解析し、移植腫瘍細胞の増殖、血管新生、リンパ節 転位に対するp53シグナル伝達系標的薬剤の効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画が効率的に進捗した結果、直接経費を節約出来たため、p53活性化薬剤であるRITAのアポトーシス誘導経路について追加実験を行った。その結果、当初の予測と異なり、RITA処理によるBaxの発現増強は認められずミトコンドリア経路とは別のアポトーシス経路が関与しているとの知見を得た。同知見を含めた論文作成に関する実験の精緻な検討が必要となった為、補助事業期間を延長する必要がある。
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