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2017 年度 実施状況報告書

アデノシン受容体を起点とする癌進展カスケード制御による新規治療方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17237
研究機関千葉大学

研究代表者

皆川 康之  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30639787)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードアデノシン / アデノシン受容体 / ADORA2b / 口腔扁平上皮癌 / HIF1α
研究実績の概要

アデノシンは様々な細胞の生理活性に関与する重要なヌクレオシドであり、癌細胞においてもアデノシンが顕著に発現し、癌の増殖および進展を促進する。また、アデノシンは酸素要求性が高く酸素分圧が低い組織中に蓄積し、その生理活性を発揮することから、口腔癌などの固形癌においてみられる低酸素領域での癌の進展カスケードへの影響が考えられ、アデノシンとその受容体からのカスケードの異常が癌の活性化に深く関与していると考えられる。本研究では口腔癌において最も過剰発現しているアデノシンA2b受容体(adenosine A2b receptor; ADORA2b) に着目した。OSCC細胞株9種について正常口腔粘膜上皮細胞と比較したところ、全ての細胞株において ADORA2bの発現亢進を認めた。またOSCC臨床検体においても正常口腔粘膜上皮と比較し、ADORA2bのタンパクの発現は有意に亢進していた。さらに ADORA2bの発現と臨床指標との相関関係を調べると、ADORA2bの発現が高い症例ほど腫瘍径に有意な差を認めた。次に、癌細胞株2種に ADORA2bのshRNAを導入し、ADORA2b発現抑制株(shADORA2b株)とcontrol株(shMock株)を樹立し、機能解析を行った。細胞増殖能試験では、shADORA2b株はshMock株と比較し、有意な差を認めた。さらにADORA2bを起点とするシグナル伝達経路にある遺伝子群を検証した。ADORA2bの発現を低下させることにより、Akt,、Erkのリン酸化が阻害され、さらにhypoxia-inducible factor a (HIF1α) の発現減弱を認めた。現在、口腔癌細胞株を低酸素培養状態にて培養し、ADORA2Bの発現状態の変化や関連するシグナル伝達経路への影響を検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。またこれまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展している。

今後の研究の推進方策

現在口腔癌細胞株を低酸素状態にて培養し、ADORA2Bと嫌気性環境関連遺伝子であるHIF1αとの関連や、それらのシグナル伝達経路およびターゲット遺伝子を検証している。また、低酸素培養下におけるHIF1αの核内移行をWesternblotting法を用いて確認し、HIF1αの核内移行が関連遺伝子群に及ぼす影響を明らかにする。
今後はパスウェイ解析および文献検索からADORA2Bおよびそれぞれのカスケードの選択的拮抗薬の候補を同定し、薬剤添加による口腔癌の機能解析を行う。これらの結果から、実際の口腔癌治療薬剤として臨床応用が可能な薬剤を同定し、ADORA2Bを起点としたカスケードをターゲットとした新規口腔癌治療法の確立について検証する。

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公開日: 2021-01-27  

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