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2017 年度 実施状況報告書

乳歯歯髄幹細胞由来培養上清を用いた誤嚥性肺炎の治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17241
研究機関名古屋大学

研究代表者

椙村 有紀子  名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10778658)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード嚥下障害 / 乳歯歯髄幹細胞 / 培養上清
研究実績の概要

肺炎は2011年よりわが国の疾患別死亡原因の第3位であり、高齢者の肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎であるという報告がある。誤嚥性肺炎の発症のベースとして嚥下障害が存在していると言われている。誤嚥性肺炎に対し口腔ケアや嚥下訓練が行われているが有効な治療法や根本的な治療法はなく、新しい治療法の開発が求められている。
本研究の構想は、ヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)が分泌するパラクライン因子に含まれる嚥下障害改善に関係する因子を調べ、その因子群を嚥下障害モデルに適用し、治療効果について検討することであった。
本年度は、細胞実験を中心に研究を進めた。パラクライン因子は培養上清中に含まれているため、SHEDを80%コンフルエントになるまで培養後、無血清培地に交換してさらに48時間培養し、それを遠心分離することによりその上清を得た。その中に含まれる因子をサイトカインアレイ法にて網羅的に調べ、その中で嚥下障害改善に寄与する因子をELISA法にて定量化した。マクロファージの活性化の状態には、炎症性(M1)と抗炎症性(M2)があると言われている。SHED由来培養上清は炎症性M1マクロファージを抗炎症性M2マクロファージへ誘導することを見出した。また、シュワン細胞は、末梢神経系のグリア細胞とし髄鞘を形成するとともにニューロンの生存・維持に重要な成長因子やサイトカインを分泌する役割がある。SHED由来培養上清はシュワン細胞の遊走能や増殖能を上昇させることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

幹細胞培養上清の作製方法や解析の手法はこれまでの経験を活かし行った。そのため、予定していた実験は効率的に概ね遂行することができた。

今後の研究の推進方策

近年、上喉頭神経が嚥下を誘発する受容器を支配していることがわかっている。そこで、ラットの上喉頭神経を圧挫し、嚥下障害モデルを作製する。その後、培養上清を全身投与し、体重率、嚥下回数、嚥下造影検査にて誤嚥の程度について評価をする。また、損傷を受けた神経の電気生理学的評価や遺伝子学的変化をリアルタイムPCR法にて定量化する。また、トルイジンブルー染色や透過型顕微鏡を用いて神経軸索の変化を評価する。肺の炎症変化についてもH-E染色やリアルタイムPCR法にて評価する。末梢血を採取し、白血球数やC反応性タンパク(CRP)の検査を行い炎症の程度を評価する。また、サブスタンスPの検査を行う。血中のサブスタンスP濃度の低下は嚥下障害を惹起することが知られている。これらの血液検査で有意差があるか検討する。これらの結果をまとめ論文発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

細胞や試薬が当初の予定より安価に済んだため。また、効率的に物品を購入した結果、経費の削減ができたため。動物の飼育費や実験器具の購入費として使用し、実験を遂行する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] ラット末梢性嚥下障害モデルの確立と乳歯歯髄幹細胞由来成長因子による治療効果の検討2017

    • 著者名/発表者名
      鶴田剛士、片桐 渉、大杉将嗣、酒井 陽、椙村有紀子、坂口晃平、渡邊純奈、日比英晴
    • 学会等名
      第16回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] 乳歯歯髄幹細胞由来培養上清由来成長因子を用いた末梢神経再生治療の検討2017

    • 著者名/発表者名
      椙村有紀子、酒井 陽、坂口晃平、鶴田剛士、渡邊純奈、片桐 渉、日比英晴
    • 学会等名
      第62回日本外科学会総会 学術大会
  • [学会発表] 乳歯歯髄幹細胞由来成長因子は神経の血管新生を介してラット末梢性嚥下障害を改善する2017

    • 著者名/発表者名
      鶴田剛士、片桐 渉、大杉将嗣、酒井 陽、椙村有紀子、坂口晃平、渡邊純奈、日比英晴
    • 学会等名
      第62回日本外科学会総会 学術大会
  • [学会発表] ラット末梢性嚥下障害モデルを用いた乳歯歯髄幹細胞由来成長因子の治療効果の検討2017

    • 著者名/発表者名
      鶴田剛士、片桐 渉、大杉将嗣、酒井 陽、椙村有紀子、坂口晃平、渡邊純奈、日比英晴
    • 学会等名
      第71回日本口腔科学会総会 学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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